源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
はじめての中国語
はじめての中国語 (講談社現代新書)はじめての中国語 (講談社現代新書)
(1990/02/16)
相原 茂

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はじめての中国語

相原茂【著】
講談社(講談社現代新書)刊
1990(平成2)年2月発行


4月は語学学習を始める季節であります。特にさう決つてゐる訳ではないけれど、希望を持つて学習を開始し、5月か7月あたりで挫折するまでの間は、ネイティヴ並に流麗に話す自分を夢見てゐられるのであります。

周知のやうにNHKでも、レイッディオウとTVで各種外国語の講座があります。中高生の頃は色々視聴してゐましたが、TVの方ではその後「生徒役」なる役柄が登場しまして、これで見る気が無くなりました。当方は少しでもネイティヴの模範発音を聞きたいのに、わざわざ素人を出すとはどういふ気かね、と思つたのです。
さらに時代が下つて、生徒役は一般人から芸能人に代りました。かうなると全く別の番組のやうで、完全にわたくしの興味は失せてしまつたのであります。

ところが今年の「テレビで中国語」は、生徒役が壇蜜さんだといふではありませんか。これは見るしかあるまいと、テキストまで購買してしまひました。即ちわたくしが侮蔑してゐた策略に、自らが嵌つてしまつたといふ訳ですな。で、実際に番組を視聴しますと、案外良くできてゐるなと。中でも、小学生から70代までの北京市民から、学習した表現を実際にはどのやうに駆使するのかをインタビュー(?)したコオナアはユニックでした。ま、NHKらしく恥かしい演出もちらほらありますがね。

オット、紹介したいのはNHKではなく、相原茂著『はじめての中国語』でした。全8章から成りますが、その構成は中中に個性的です。

序章「学びやすい中国語」、第1章「私たちが学ぶ中国語」でまづ概観し、中国語とはいかなる言語かを述べます。文字改革の歴史にもちよつと触れてゐます。
第2章「中国語の発音」では、日本人が苦手な四声、そり舌音、有気音と無気音の相違などを手際よく教へてくれます。かつて取り上げた同じ著者による『中国語の学び方』でも述べられてゐた、「中国語発音良ければ半ば良し」といふ標語(?)をここでも開陳してゐます。

第3章から第5章までは飛ばしても良い内容で、第6章・第7章がいよいよ「中国語の基本」であります。中国語は「語順」が大切として、「SVO」の構文を徹底的に料理し、読者に提供するのであります。
第8章が「ひとこと中国語」。街で話せる、そのまま覚える中国語の数数。この章を読むと、何だか中国語会話は訳なく出来さうな気がするから面白いですな。

さて「第3章から第5章までは飛ばしても良い内容」と先ほど述べましたが、では無くても良い無駄なパートなのか、トマソンなのかと問ふ人がゐるかも知れません。
さうではありません。わたくしが思ふに、この3章こそが本書の眼目、類書との差をつけた部分ではないかと。

第3章「日本語と中国語」で、この二つの言語が歴史上で、いかに影響しあつてきたかを、過去の日本人が学んできた「漢文」と比較することで説明してゐます。一方的に中国⇒日本ではなく、日本⇒中国への影響もあつたのですねえ。
第4章「中国語の語彙」。日本語と中国語で、同じ漢字を使つてゐてもその語のもつ「広がり」は、両国ではまるで違ふのであります。日本語で「切る」といふ単語を中国語に変換する時、例へば「野菜」「樹」「ツメ」「木材」「盲腸」「ガラス」を「切る」際に、すべて使ふ動詞(漢字)が違ふと紹介します。日本語では、ものを二つ以上に分かつ状態を「切る」なんて表現するが、中国語ではその動作に注目するため、それぞれ別の動詞を駆使するのださうです。こんな話は、あまり初心者向けの本には書いてありません。
第5章「私の中国語修行」を読みますと、語学習得には近道無しと、つくづく思ふのであります。ここでも著者は、やはり上達にはカネをかけないと本気になれないと書いてゐます。ふうむ。

といふふうに、第3章-第5章は無くても成り立つのですが、それでは本書の存在意義は薄いといふもの。この3章があるからこそ濃ゆい、ユウスフルな内容になつたのです。初級学習者にとつて出色の一冊と申せませう。

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コメント
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懐かしい
多言語をいっぺんにやったほうがよい!
とテキストを並べてた君を思い出します(^o^)
2015/04/27(月) 18:29:23 | URL | せるげん #- [ 編集 ]
Re: 懐かしい
いやあ、お恥づかしい。そんなこともありましたなあ。
言はれるまで忘れてゐましたが。
仏中英は続けたいですね。貴殿も如何ですかな。
2015/04/27(月) 23:02:20 | URL | 源氏川苦心 #- [ 編集 ]
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