源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
アメリカン・スクール
アメリカン・スクール (新潮文庫)アメリカン・スクール (新潮文庫)
(1967/06/27)
小島 信夫

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アメリカン・スクール
小島信夫【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1967(昭和42)年6月発行
2008(平成20)年1月改版


アメリカン・スクールの見学に参加した、30人ばかりの日本人英語教師たち。戦後3年経つたばかりの時代背景です。
メムバアの一人である伊佐は、英語を話したくない(不得手らしい)ばかりに、日本語でも口をききません。逃げ回つてゐます。
一方山田といふ男は、何かと一同を仕切りたがるうるさい奴で、英語力を誇示したいやうです。さて、どうなりますか...

さて本書は小島信夫氏の初期作品集であります。各作品に共通するのは、主人公が皆、苦しんでゐまして、常に懊悩してゐることであります。
本来ならいくらでも重苦しくなるところですが、その文章の軽妙さで、読む者を暗澹とさせません。ふつと軽く笑はせながら、戦後の矛盾した社会、不条理な世界を抉り出してゐるのでした。
現在でも十二分に読み応へのある傑作集と申せませう。



以前健康診断にて、要再検査となつた事項がありましたので、診断結果を持参して近所の病院へ行きました。
あれよあれよといふ間に、胃カメラ検査をすることになつてしまひました。心が重い。
現在の胃カメラは鼻から入れるらしいですな。口から入れるよりも抵抗が少ないとか。
同意書みたいなものにサインさせられ、とりあへず予約を入れることになつたのであります。出来れば逃げ出したい...

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サービス
サービス (チェーンストアの実務原則・シリーズ)サービス (チェーンストアの実務原則・シリーズ)
(1999/11)
桜井 多恵子

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サービス
桜井多恵子【著】
実務教育出版刊
1999(平成11)年11月発行


日本リテイリングセンター(JRC)といへば、チェーンストアに関る人ならお馴染みであります。
平たく言へば、チェーンストアのコンサルティングを専門とする組織で、創立者の渥美俊一といふ先生は、この世界で神格化されてゐるほどでございます。
わたくしも箱根まで何度かJRCのセミナアを受講しに行つたことがあり、本書『サービス』の著者・桜井多恵子先生の講義も拝聴したのであります。いやあ、思はず「先生」と言つてしまふね。

『サービス』。まことにシンプルな書名。著者によると、日本の小売業では、サービスといふ言葉が実に好い加減に使はれてゐるさうです。
特定の客に値引きをしたり、おまけを付けたり、接客を強化したり...まあ客側も値引きを要求する時に、気軽に「サービスしてよ」なんて言ひますからね。

「日本で行われているサービスは、お客の意向とは何の関係もなく、提供する側に都合が良く、したいことをしているにすぎないのである」(本書より)

では本当のサービスとは? ひとことで言ふと「お客が心から満足する状態をつくること」ださうです。即ち、
×回遊型 ○ショートタイムショッピング→たくさん歩かされると疲れる
×対面販売 ○セルフサービス→余計なストレスを与へるだけ
×豊富な価格帯 ○プライスレンジを絞る→どの価格のものを選ぶか迷ひ、何を選んでも不安が残る

で、これらは小手先で変へるものではなく、業態改革で体系づけるものだと主張するのであります。もちろん、あの皮肉たつぷりの筆致で。実際に講義を聴いた人なら、きつと笑ひを誘はれる記述がそこかしこにあります。
初めて読む人の中には、抵抗を感ずる向きもあるでせうね...

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津山三十人殺し
津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)
(2005/10)
筑波 昭

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津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇
筑波昭【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2005(平成17)年10月発行


昭和13年に起きた、津山事件。
その事件が発生したのは、岡山県苫田郡西加茂村といふ土地で、津山市ではないのですが「津山事件」と称されてゐます。(現在は津山市に編入されてゐる)

事件の梗概としては、都井睦雄なる無職男(今風にいへばニートか)が、一夜のうちに30人もの生命を奪ひ、最後に自ら命を絶つたといふものであります。
手口は荒つぽい。日本刀と猟銃での犯行であります。これほどの短時間で30人もの殺人を犯したといふ例は世界でも類を見ないのです。
犯人が自害してしまつたことで、事件の全容を解明するのにかなり時間がかかつたといふことです。否、今でも謎の部分は残つてゐます。証言をする関係者は、死人に口無しで自分に都合の悪いことは隠蔽しますからね。まあ、人間の性と申しませうか。

二部構成となつてゐて、第一部は事件当時の記事、論評を中心にその経緯を再現します。第二部は犯人都井の生ひ立ちを一年ごとになぞつていきます。極力主観を交へずに、丹念に資料・証言を追ふのでした。
難点を申せば、各種資料を引用する際に、それが地の文章と一見して区別がつき難いのであります。ちよつと苛苛しますね。

意外だつたのは、当時はこの事件に関しては報道管制が敷かれてゐたといふのは間違ひであつたといふこと。新聞各社を中心に、ばんばん記事になつてゐたのです。ゆゑに全国に知られてゐたはずだと。事件の内容が内容だけに、口にするのも憚られる空気があつたのでせうか。

それにしても読めば読むほど、犯人の心理は解らなくなります。人一人を殺すだけでも恐ろしすぎる所業であるのに、次から次へと...この異常なエネルギーは何なのか。いかなる理由を拵へても、常人には理解出来ぬものでありませう。

流石に読後感は重い。

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多事争論 メディアと権力
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多事争論 メディアと権力
筑紫哲也【著】
新潮社刊
1994(平成6)年5月発行


多分一ヶ月以上前だと思ひますが、BS-TBSにて故・筑紫哲也氏の特番がありました。
その時は録画をしただけで、そのまま忘れてゐたのですが、この度やうやく拝見したことであるなあ。
ゲストの一人である立花隆さんが、筑紫氏を評して「筋金入りのリベラリスト」と述べてゐました。
どこかで聞いた言葉だなと思つたら、筑紫氏の以前の著書『多事争論 メディアと権力』のカヴァー裏に記載されてゐる立花氏の推薦文にも駆使されてゐたのです。

「ニュース23」内の名物コラム「多事争論」を中心に編集されてゐます。毎日カメラ目線で90秒。筑紫哲也氏が視聴者に語りかけるコオナアであります。何でもこのスタイルは、テレビ業界では掟破りといへるほど珍しいのださうです。
何しろ毎日のことなので、分量的には申し分ない。しかしそれ以上に、筑紫氏の発言が必ず複数の視点を持つてなされてゐることに驚くのであります。一人で多事争論。
また、ある事件・事象に対して「大多数の日本人はかう考へるだらうな」と思はれる意見をあへて封印するとか。それは意識的な作業なので、抗議や反論が多く来ることも織り込み済みなのであります。

一国の世論が、皆同じ方向を向く事の危険性を知る筑紫氏ならではと申せませう。

多事争論 メディアと権力多事争論 メディアと権力
(1994/05)
筑紫 哲也

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ガメラ画報
ガメラ画報―大映秘蔵映画五十五年の歩み (B media books special)ガメラ画報―大映秘蔵映画五十五年の歩み (B media books special)
(1996/07)
イオン

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ガメラ画報-大映秘蔵映画五十五年の歩み
イオン【構成・編集】
竹書房刊
1996(平成8)年7月発行


またもや旧聞に属する話。本郷功次郎さんの事です。
恒例の我が家の追悼上映では、『浮かれ三度笠』『釈迦』『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』『大魔神怒る』『東海道お化け道中』を鑑賞したことであるなあ。本郷さんとしては、意に沿はない作品群かも知れませんが。
訃報から一ヶ月近く経つてしまひましたが、何か取り上げやうと思ひ『ガメラ画報』の登場となりました。

市川雷蔵の弟分としてデビュウした本郷さんですが、その後は独自の歩みを見せたのであります。ガメラに出演する時はおそらく複雑な思ひもあつたのでは。
しかし昭和ガメラを代表する俳優といへば、間違ひなくこの人であります。亡くなつたのは残念ですが、映画史に名前を残した名優の一人と申せませう。

さて『ガメラ画報』には、ガメラシリーズ以外にも、大映のメイニアック映画が紹介されてゐます。
『透明人間と蠅男』みたいな、アダルトかつ胡散臭い映画や、夥しい数の怪談映画などは、新東宝作品と被りますな。無理に比較をすれば、大映の方は正統派を目指した結果なぜかかうなつちやつた感がありますが、新東宝は最初から終末まで突つ走れ!みたいに走つてゐます。

本書を読んだら、実際に映画を観てみませう。後悔しても責任は取れませんが...
ではご無礼します。

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プリンシプルのない日本
プリンシプルのない日本 (新潮文庫)プリンシプルのない日本 (新潮文庫)
(2006/05/30)
白洲 次郎

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プリンシプルのない日本
白洲次郎【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2006(平成18)年5月発行


白洲次郎さんが自ら残した文章の数々。分量は少ないですが、彼の人となりを類推するには最適の一冊と申せませう。
プリンシプルとは原理原則とかいふ意味ですかな。自分がとるべき姿勢や行動、考へ方に筋が通つてゐるといふか。
戦後間もない時期に「文藝春秋」誌に寄稿した文章が中心であります。
これだけは言つてをきたい、とばかりにずけずけ直言してゐます。小気味好いですな。
断片的ながら、白洲さんが中央政界といかなる関はり合ひがあつたかが窺はれます。彼は吉田茂元首相が好きだつたのですねえ。

新憲法で天皇が「象徴」といふ日本語になつたいきさつも書いてあります。(シンボルつて何だ?...辞書には象徴と書いてある)...本当にこんな適当なやりとりで決つたのですかね。まあ本人が書いてゐるからさうなのでせうが。
直言の内容は時代に阿ることなく、言ひたい放題なのですが、まるで現在の日本に対して述べてゐるかのやうです。それだけ普遍性を持つてゐるのでせう。或は日本の抱へる問題は昔も今も変らないといふか。

理想化され過ぎたきらひがある面も否めないその人物像。ゆゑに白洲氏に対して否定的な見方も存在します。
しかしそのせいで本質を見誤るとよろしくない。現代の我我にも覚悟を求めてゐるのではないでせうか。



健康診断に行つてまゐりました。今回初めて行く施設で、真新しい建物でした。金がかかつてゐるな、といふ印象。
バリウムを飲んで台の上でぐるぐる廻らされるやつですが、今回は今までの3倍以上の時間がかかりました。
なぜか妙に念入りにやるので、結果が不安であります。しかも「ハイ息を止めてー」の指示の後、再び呼吸を許可するコールがないので、そのまま息を止めてゐると、また「ハイ息を止めてー」とくる。
これの連続なので、大変疲れました。うつすらと汗までかいてしまつた。
で、終つて帰宅したら電話が。治療が必要な箇所があるので、なるべく早く病院へ行けといふのです。
電話でしらされるのは初めてなので、まことに不安であります...

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リチャード三世
リチャード三世 (新潮文庫)リチャード三世 (新潮文庫)
(1974/01/30)
ウィリアム シェイクスピア

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リチャード三世
ウィリアム・シェイクスピア【著】
福田恆存【訳】
新潮社(新潮文庫)刊
1974(昭和49)年1月発行


駐車場で発掘された人骨はリチャード三世のものであつた! といふニュウスがありましたな。
ボズワースの戦ひで戦死したリチャード三世は、その遺体を埋葬した場所は不明だつたさうです。それが死後500年以上を経た21世紀になつて、駐車場から発見されるとは、愉快ではありませんか。

リチャード三世は、希代のワルとして有名。いや、さう思はれてゐます。実際には民衆のために善政を行つたとの説もございます。
残忍で狡猾な人物との印象を植ゑ付けたのは、どうやら沙翁の歴史劇『リチャード三世』のせいみたいです。この人物像は沙翁の創作の賜物か?

王位の座を手に入れるためには、手段を選ばないリチャード。邪魔な存在は消し去るのみさ、とばかりにやりたい放題であります。口も八丁、手も八丁。
せりふが何とも魅力的。春、早ければ、夏、短し、なんてね。つい真似をしたくなります。時折冗漫と思はれるやりとりもありますが、まあいいぢやありませんか。



名古屋の入国管理局に用向きがありまして、電車で行きました。名古屋駅から「あおなみ線」に乗ります。河村たかし市長が、蒸気機関車を走らせよまい、と提案してゐる路線であります。
名古屋駅を出ると、たちまち「ささしまライブ」なる駅に到着しますが、この駅のローマ字表記が「Sasashima-raibu」となつてゐて、まことにカッコイイと思ひました。それだけの話ですが...

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