源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
徹底詳解 リニア中央新幹線のすべて
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(2012/10/30)
川島 令三

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徹底詳解 リニア中央新幹線のすべて
川島令三【著】
廣済堂出版刊
2012(平成24)年12月発行


川島氏はこれまでにも、リニア中央新幹線について各所で展望を述べたり、また問題点などを指摘してをりますが、今回は初めて丸ごと一冊リニアについて詳説してゐるといふのが違ふところですね。

序盤でリニアの概要、歴史について手際よくまとめ、中盤以降で得意の想定時刻表や需要予測、さらに将来の展望や問題点まで展開します。
名古屋先行開業時にどれほどの乗客が見込まれるのか、未知数なので色色な人が勝手に予測してゐますね。「そもそもリニアはまつたく必要なし」と断じる専門家(?)もゐて面白いのですが、それは分からんでせう。

あの「夢の超特急」東海道新幹線も開業前はその効用について疑問視されてゐたさうです。これからは航空機の時代だぜ、とか、マイカーブウムが定着したら誰も鉄道なんかに乗らないよ、世紀の無駄遣ひだ、なんてね。
しかし新幹線は大成功を収め、海外にも技術を輸出するほどに成長したのは周知の通りであります。

とはいへ、やはり名古屋暫定開業では、効果も限定的と思はれます。新大阪開業2045年はいかにも時間がかかりすぎと申せませう。リニアについては、わたくしが子供の時代から、実用化の話は出てゐました。しかし実験ばかりしてゐて中中話は進まない。さらに32年(大阪開業まで)かかるとは、絶望的に遅いですね...わたくしは多分死んでゐるでせう。

ま、個人的な話はともかく、川島氏の筆致はますますソフトになつてきてゐる印象です。従来の「川島節」が鼻につくといふ人も、本書は抵抗なく読めるのでは。免疫のない人も大丈夫。と思ふ。

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城の中のイギリス人
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城の中のイギリス人
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ【著】
澁澤龍彦【訳】
白水社(白水Uブックス)刊
1984(昭和59)年11月発行


こんばんは。久しぶりの更新となります。
また違ふ仕事を始めましたので、いささか忙しくなつてしまひました。
関係ないけれど、近所の本屋がまた相次いで二軒、閉店したのであります。これにより、自宅からクルマで十分圏内の書店は、わたくしの知る限り七軒。(中古書店はのぞく)どんどん減つてゐることであるなあ。

さて、学生時代の話。
仏文学購読の講義前、教室内で『オートバイ』を読んでゐますと、ゼミのT教授が「ほほう、マンヂアルグですか」と言葉を発したのであります。
続けて「現代フランスの幻想文学における彼の位置付けを、苦心君はどのやうに認識してゐますかな」などとつぶやき、意味もなく「ははは、は」と笑ひました。困るのであります。

より正確な邦題は、『閉ざされた城の中で語るイギリス人』ださうです。一体彼は何を語るのか。
訳者・澁澤龍彦氏の名調子で、異常な性愛体験が語られるのです。あまり善良な読書子向けの話とは申せません。
内容が内容だけに、詳しく述べることを逡巡するものであります。自己責任で読んでみてくださいませ。
まあ面白いんですけどね。人によつては嫌悪感を示す場合もあるかも知れませぬ。
ぢやあ、今夜はこの辺で。眠い。

城の中のイギリス人 (白水Uブックス (66))城の中のイギリス人 (白水Uブックス (66))
(1984/11)
A・ピエール・ド・マンディアルグ、澁澤 龍彦 他

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百鬼園随筆
百鬼園随筆 (新潮文庫)百鬼園随筆 (新潮文庫)
(2002/04/25)
内田 百けん

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百鬼園随筆
内田百閒【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2002(平成14)年4月発行


いいですねえ、内田百閒。
随筆と謳つてゐますが、創作集として読みました。実話が元になつてゐるだらうと思ふものの、第一級の小説作品だと感じてをります。
冒頭の「短章二十二篇」が素晴しい。単に我儘で自己中心的な人物には書けぬ逸品と申せませう。研ぎ澄まされた五感を遺憾なく駆使し、読者にご馳走を提供してゐます。
「ヨーヨー」に「揺揺」なる漢字があるとは知りませんでしたな。ふふ。

「貧乏五色揚」では、専ら借金の話であります。この人の金銭感覚はわたくし共凡人とはかけ離れてゐるため、周囲が通俗的な助言をしても一向に改善の兆しは見られません。
さういへば『阿房列車』でも、無用の汽車旅をするために、わざわざ借金の申し込みをしてゐました。

「七草雑炊」の作品群では、作者のユウモワセンスが炸裂してゐます。これらの作品群を読んで、クスリともしない人がゐるなら、残念な人と申せませう。わたくしは声を出して笑つてしまつた。
本心よりお勧めの一冊と述べることにします。
惜しむらくは、本来の表記(いはゆる歴史的仮名遣ひ)で収録されてゐる旺文社文庫版が好いのですが、中中入手が容易ではないので、新表記の新潮文庫版をあげときます。ちよつと口惜しい。

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壁が囁く


壁が囁く
佐野洋【著】
角川書店(角川文庫)刊
1975(昭和50)年12月発行


新聞記者の志原くんは、妻に先立たれてゐる。しかも自殺であつた。ガス自殺。
で、最近関係を持つたばかりの同僚女性が、またもやガス自殺をしたのであります。ここで言ふ関係とは、五木ひろし風に言へば「大人のつきあい」の関係です。
このふたつの自殺ですが、その方法が実に酷似してゐるのであります。これは何かある。
警察に密告電話が入り、これは殺人事件であり、しかも犯人は志原くんだといふのです。そんな莫迦な...

往年の流行推理作家・佐野洋さんが亡くなつたと聞き、追悼の意を込め我が家の苦心文庫ライブラリイより、大量にある佐野洋作品の一冊を無作為に選びました。
ここは「無作為」といふのがポイントですな。「佐野洋著」と銘打つてあれば、どの作品でも愉しめる安心感があると申せませう。

読後、続けて佐野作品を幾つか読みたくなる誘惑にかられるわたくしがゐるのであります。
では、さやうなら。


壁が囁く (角川文庫)壁が囁く (角川文庫)
(1975)
佐野 洋

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