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2014年09月16日の記事 (1/1)

時刻表ひとり旅

時刻表ひとり旅 (講談社現代新書)時刻表ひとり旅 (講談社現代新書)
(1981/06/17)
宮脇 俊三

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時刻表ひとり旅
宮脇俊三【著】
講談社(講談社現代新書)刊
1981(昭和56)年6月発行
2013(平成25)年5月復刊


処女作『時刻表2万キロ』を発表して以来、著者の宮脇氏に対し、「時刻表のどこが面白いのですか?」といつた質問が増えたさうです。宮脇氏は時刻表の魅力を縷々説明するのですが、中中うまく相手に伝へられず隔靴掻痒の感を抱くとのこと。そこで一度時刻表の魅力、面白さを細かく詳しく語つてみたいと思ひ、本書執筆の運びとなつた訳です。

したがつて本書の対象はテツではなく、ごく一般の読者を想定して企画されました。
しかしその試みが成功してゐるのは第一章のみで、第二章以降はすでにその執筆意図を忘れたかのやうな暴走振りであります。おかげで実に愉快な読み物になりました。
特に第二章「国鉄全線大集会」は、国鉄各線を擬人化し、各線が手前勝手な発言をし、それぞれの線区がいかなる特徴を持つのかを浮かび上がらせてゐるのですが...ごく一般の読者には解りませんよ。これはどう見ても、テツが読んでニヤニヤする内容であります。

第四章の「ローカル線10傑」は、「ローカル線を旅したいけど、お勧めはどこ?」といふやうな問合せが多いことから発表したやうです。やはり人口密度の低い過疎地を走るローカル線(つまり大赤字線)ほど魅力的といふ傾向がありますので、この10傑の中で、「天北線」「湧網線」「能登線」「阿仁合線」「宮津線」「松浦線」「宮原線」「高千穂線」の8線は、すでに国鉄(⇒JR線)としては廃線となつてゐます。第3セクタア鉄道として生れ変つた線も結構ありますが。

付章の「つくりたい駅、走らせたい列車」は、メイニヤの本領発揮といつたところです。妄想の域を出ないのですが、通勤新幹線の駅は、本庄早稲田駅など一部で実現してゐると申せませう。寝台新幹線は、作つて欲しいですな。無理だけど。また、山手線電車の最後部を展望車に、といふ提案は面白いのですが、著者自身も「まあ、ぜひやれ、というほどのことではないから、どうでもいいけれど」とナゲヤリになるほど現実性は薄いですなあ。

しかし組合問題満載だつた国鉄時代と違ひ、現在はJR各社が特長のあるユニイク列車を誕生させてゐます。宮脇氏の面白提案を上回る車両の出現を望むものであります。

では今夜はこんなところでご無礼します。

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