源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
小説GHQ
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小説GHQ
梶山季之【著】
集英社(集英社文庫)刊
1981(昭和56)年2月発行


戦後日本の混乱期を統治したGHQ。この大きな組織について、梶山季之氏が取り組んだ一作でございます。
登場人物は、まづ、髭面の醜男ながら、その人懐こさから味方を増やし、混乱のどさくさにまぎれてのし上がる姫野八郎。
戦時中は姫野の上官だつた綾小路冬彦。不敵な一高生で、姫野の軍師として活躍するニヒルな田丸小弥太。
まあだいたいこの3人を中心に物語が進むのであります。むろん他にも二世のトム・田中や、妖艶な人妻・島田春代、冬彦の父・綾小路秀樹など印象的な人物が物語を彩ります。

姫野八郎のサクセスストオリイの側面もありますが、GHQの政策に翻弄される人たちの群像劇とも申せませう。
農地解放や財閥解体、さらに戦争犯罪人を逮捕し、公職追放を敢行するGHQ。戦争に負けるとはどういふことか、日本国民は身に沁みて理解したことでありませう。

さて、わたくしは本書を大層面白く読んだのでありますが、解説の山口瞳氏は『小説GHQ』を失敗作、とまでは言はないが少なくとも会心の作ではなかつたと捉へてゐたやうです。
どうやら史実を追ふルポルタージュの部分と、姫野ら主要人物が活躍するパートが有機的に構成されてゐないことを指してゐるのでせう。水と油。

ま、いいではありませんか。さういふ欠点を持ちながら、これだけ面白く読ませる作物はさうさうありますまい。
逆にそれだけ、梶山作品の水準が高かつたことの証左にもなりますかな。
560ページ以上もある大厚の小説でありますが、わたくしは2時間で読んでしまつた。困りますなあ。

小説GHQ (集英社文庫 青 43-E)小説GHQ (集英社文庫 青 43-E)
(1981/02)
梶山 季之

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