源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
天平の甍
天平の甍 (新潮文庫)/井上 靖

¥420
Amazon.co.jp

天平の甍
井上靖【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1954(昭和29)年3月発行
1990(平成2)年2月改版
2005(平成17)年3月改版


その昔、某芸人が雑誌にて、好きな作家として「井上やすし」なる人物を挙げてゐました。
この人誰?と思つたら、『ドン松五郎の生活』の話をしてゐたので、「井上靖」ではなく「井上ひさし」のことであつたと判明したのであります。さういふ訳で、いまだに井上靖と聞くとその件を思ひ出すのでした。

それはそれとして、『天平の甍』。
学校の歴史でも必ず習ふ、遣唐使と鑑真和上でありますが、教科書ではあまりにあつさりとした扱ひですなあ。
鎖国以前の日本は、唐に学ばんとする姿勢が旺盛だつたやうです。当時は世界の先進国だつたといはれる中国。第九次遣唐使のメムバアはそれぞれの想ひを胸に秘め(秘めない奴もあり)、大陸を目指しました。

命がけで渡る唐の地。無論今の留学生とは覚悟が違ひます。当時の日本を背負つてやつてくるので、使命感は想像以上でせう。
だから個人で学ぶ意義よりも、いかに教へを故国へ伝へるか、に重点が置かれるのであります。ひたすら経文の書写をする業行の行為は、その最たるものと申せませう。

そして日本側の招聘に応じて何度も来日を企てた鑑真...世界中の情報が居ながらにして容易に手に入る現代を思へば、二度と来ない時代であります。
引き締まつた硬質の文章は、われらに改めて読書の悦びを教へてくれるのでした。
常に不平不満をもらす向きに読ませれば、しばらくは大人しくなりさうです。ボクも。

スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
http://genjigawa.blog.fc2.com/tb.php/11-673ceb6c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック