源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
その日本語、伝わっていますか?
その日本語、伝わっていますか? (講談社プラスアルファ文庫)その日本語、伝わっていますか? (講談社プラスアルファ文庫)
(2011/03/22)
池上 彰

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その日本語、伝わっていますか?
池上彰【著】
講談社(講談社プラスアルファ文庫)刊
2011(平成23)年3月発行


池上彰さんが日本語の本を出してゐたので、手に取つてみたのであります。
それにしても池上先生、総てのテレビ出演を休止すると発表した後も、実によくテレビで見かけます。メディアが放つてをかないといふことでせうか。

第一章「放送で苦労しています」...固有名詞の読み方は難しい。正しい読み方をしても、無知な視聴者から「間違つてゐるぞ」と抗議されるとか。痛いですなあ。
今の視聴者は鵜の目鷹の目でテレビ出演者の発言をチェックしてゐるやうです。テレビに出演する人が「特別な人」と目されなくなつたことも原因ですかな。

第二章「とっても気になります」...「ら抜き」「さ入れ」「チョー」「ぢやないですか」「鼻濁音」等等。気になるけれど、単なる日本語の乱れと片付けられぬところに池上氏の苛立ちが窺はれるのであります。

第三章「日本語はむずかしい」...ありがちな言葉の誤用について述べてゐます。かういふのは既出の類書に山ほど出てゐるので、まあ池上氏がわざわざ取り上げなくてもいいかと。

第四章「日本語を捨てようとしたことも」...ワープロの登場までは、国語ローマ字化論は結構勢力があつたと記憶してゐます。現在でも下火になつたとはいへ、埋火のやうにくすぶつてゐるやうです。日本語は論理的ではないとの指摘に対しては、日本語ではなくそれを駆使する人間が非論理的なのであると。賛成。

第五章「漢字もあるからいい感じ」...外来語をそのままカタカナで表記するのは、あまりに芸がないですな。先人は、知恵をしぼり漢字の造語力を遺憾なく利用してくれたのに。なほ、英語圏の人でさへ、日本語学習の際には、カタカナよりも漢字の方が理解しやすいといふ傾向があるといふことです。(意味が類推できるから)

第六章「言葉は生きている」...あまりに誤用が幅を利かせ、悪貨が良貨を駆逐する事態になりますと、せつかく正しい言葉を学習しても虚しくなりますなあ。

第七章「言葉は文化を映す」...時代・地域・人種・職業などで言語は変化する。外国語を学習する時でも、単に言葉を覚えるだけでは片手落ちで、その国の文化・習慣・風俗などとセットで身につけたいものであります。

第八章「敬語を敬遠しないで」...敬語こそ誤用が目立つ分野ですな。日本社会に於いては、敬語は人間関係そのものだと思ふのですが、いまだに不要論を説く人がゐるのですね。日本語学習中の外国人に「日本語には二人称はない」と喝破した人は、大した見識の持ち主だと思ひました。
関係ないが、燕党のわたくしとしては、「バレンティンを敬遠しないで」と申し上げてをきます。

第九章「日本語は美しい」...かつて欧米崇拝の傾向があつた時代、日本人は日本語を過小評価してゐたと思ひます。日本語の美しさを再発見したらば、これを次世代に継承していくのがわたくしどもの務めと申せませう。なんてね。少し真面目になつてしまつた。

正直のところ、本書の前半部分は、わざわざ池上先生が書かなくても、幾多の先行書があるぢやないかと感じましたが、一冊まるごと読了しますと、あのソフトな語り口の講義を聴き終へた快感を感じたのであります。
でも、次はやはり現代史の本を読まう...

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