源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
鉄道学のススメ
鉄道学のススメ (マイロネBOOKS)鉄道学のススメ (マイロネBOOKS)
(2003/08/29)
原口 隆行

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鉄道学のススメ
原口隆行【著】
JTB(マイロネブックス)刊
2003(平成15)年8月発行


一日過ぎてしまひましたが、10月14日は鉄道の日でございました。
NHKのラヂオを聞いてゐましたら、鉄道の日記念番組と思しきものが始まり、野月貴弘・南田裕介・久野知美の3氏が登場したのであります。まるで鉄道チャンネルの出張版みたいな顔合はせ。
南田氏は本来某事務所のマネージャーが本職の筈でありますが、すつかり鉄道タレントと化してゐます。

そんな日に、わたくしも『鉄道学のススメ』を取り上げるものです。
鉄道学なる用語は元元存在せず、造語であります。何でも学問に昇華させやうとする姿勢は好きではないけれど、鉄道趣味を社会的意義のある分野へ高めた人たちにインタヴューをして、かういふ一歩進んだ世界もあるよ、と提示する意図は悪くないと思ひました。

さすがに極めた人たちからは、単純だが深い言葉が出てきます。
登場人物は、以下の7氏であります。

★歴史・地理学=青木栄一氏「鉄道というのは、一つの大きなシステムなんですね。これには、いろいろな学問がかかわっています。社会科学、人文科学、それに理工系の学問、もしかしたら心理学なども関係するかもしれない」
★文化学=小池滋氏「皆が同じレベルで鉄道が日常生活のなかでどういう役割を果たしてきたかを考える、つまり文化としての鉄道をみんなが共有するということが大切だと思います」
★産業観光学=須田寛氏「鉄道を移動手段に選んでもらうためには、ひとり鉄道だけではなく、交通機関全体を一つのシステムととらえてその中に鉄道を位置づけなくてはなりません」
★ジャーナリズム&映像学=竹元紀元氏「なにかひとつに一途に突き進むというのも有意義なことでしょう。だが、複数のジャンルに取り組むことによって、それらが相互に補完しあって相乗効果を生み出してくれるというのも魅力です」
★社会学=種村直樹氏「なによりもまず、乗ってほしいですね。いろいろな路線に乗ることで、鉄道の社会的な側面が見えてきます」
★写真学=広田尚敬氏「写真なんてだれでも写せますよ。シャッターさえ押せばいいんですから」
★新・都市交通学=ゆたかはじめ氏「(沖縄で)鉄道のない暮らしを始めた時、なんとも頼りない感じをうけたことを今でも鮮烈に覚えています。なんというか、街に背骨が通っていないという感じですね」
...そして「紀行文学」では、宮脇俊三氏にインタビューを依頼する予定だつたさうですが、まさかの悲報に接し、かなはなかつたといふことです。読者としても残念であります。

広田氏の言葉は特にカッコイイですな。プロが中中言へる言葉ではない。各氏に共通するのは、はじめから学問を目指さうといふ姿勢ではなく、趣味が高じた結果、問題意識が芽生えてきて、社会的な活動に意義を見出してきたといふことでせうか。
「学」を名乗つてゐても、原口節はまことに平易な文章で読み易いのであります。鉄道趣味の入門書とも申せませう。

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