源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
広告みたいな話
広告みたいな話 (新潮文庫)広告みたいな話 (新潮文庫)
(1990/10)
天野 祐吉

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広告みたいな話
天野祐吉【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1990(平成2)年10月発行


天野祐吉さんの突然の悲報には驚いたのであります。最近までテレビでも拝見し、わが家で購読する新聞紙上でも、CMについての連載を続けてゐたといふのに。
実は、筑紫哲也氏亡き後、判断に迷う問題などの羅針盤として密かに頼りにしてゐた人でした。大衆に分かりやすく、ユウモワも交へつつ、実は深い問題を突つ込んで、なほかつ権力にも迎合しない。カッコイイ人だなと感じてゐただけに、まことに残念であります。

『広告みたいな話』は、文字通り得意の広告の話かと思つたら、広告の話はほとんど出なくて(だから「みたいな」と入つてゐるのか)、五つのキイワードから現代を読み解いてゐる本であります。

まづ「無重力の時代」。新人類ブーム、遊園地ブーム、温泉ブームから無重力感を感じる理由を述べてゐます。新人類なんてのは時代を感じさせます。
続いて「言文一緒の時代」。言文一致ではないさうです。現代の書き言葉に元気がなく、危篤状態であると指摘します。ニュース原稿の「書き言葉」振りは、その後ますます拍車がかかつてゐるのではないでせうか。
「カフェバーの時代」では、天野流カフェバー入門が開陳されます。カタカナ職業の人たちが中心の世界ださうです。カフェバーの客がみな、なぜサメた表情をしてゐるのかを考察してゐます。
続く「ハンフリーの時代」。ハンフリーとは外来語ではなく、半分フリーの人たちを省略した天野さんの造語でした。精神的にはハンフリーの人は、現在相当数に上るでありませう。
最後の「テレビの時代」では、突然マクルーハン論が始まり戸惑ふのですが、これが中中面白い。短いブウムで終つてしまつたが、天野さんはマクルーハンからテレビの見方をいろいろ教はつたさうです。

巻末に多田道太郎氏との対談も収録されてゐて、まことにお得な一冊と申せませう。
かうして見ると、我我は改めて惜しい人を失つたことが分かります。
改めてご冥福を祈るものであります...

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