源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
私は作中の人物である
私は作中の人物である (講談社文庫)私は作中の人物である (講談社文庫)
(1996/06)
清水 義範

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私は作中の人物である
清水義範【著】
講談社(講談社文庫)刊
1996(平成8)年6月発行


新たな年の幕開けでございます。あけましておめでたうございます。
年賀状をチェックして、不義理のないやうに全てを出し終へたのが今朝早く。遅いのであります。しかし3日になつて届くのがあるのでしかたがない。
こちらとしては、今年は何人「A Happy New Year」と書いてゐるかを確認し、ふふふと腹の中で笑ふ愉しみはあるのですが。

正月といへば条件反射のごとく清水義範氏が登場するのであります。
清水氏の作品タイトルには変てこなものが多いですが、『私は作中の人物である』も「何何?」と手に取らせるイムパクトがあります。

小説の登場人物は、三人称で語られやうが、一人称だらうが、作者の創作した人物であることを読者は承知であります。
日本には私小説の伝統があつて、まるで随筆みたいな小説もありますが、小説と銘打つてゐる限り、作者の分身みたいなものでも、それは創作されたキャラクタアであり、事実を元に語られる出来事でも、あくまでも小説上のフィクションと受け取られるのであります。
『私は作中の人物である』は、さういふ小説の約束事をおちよくつた作品であると申せませう。これも広義のパスティーシュですかな。

表題作ほか、全十篇が収められてゐる短篇集ですが、中でも特筆ものは、『船が洲を上へ行く』といふ作品。ジェイムズ・ジョイス作・柳瀬尚紀訳の「フィネガンズ・ウェイク」をパスティーシュしたやつで、解説はその柳瀬氏が書いてゐます。
柳瀬氏によると、したがつて読み方は「フネガスヲウエエイク」ださうです。
まあよくもかかるものを書かうと思つたものだ、と感心したり呆れたり。

十篇の中には、完成度において濃淡の差がありますが、もはや正月の縁起物として読めばよろしい。
では今年もよろしくお願い申し上げます。

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