源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
カップヌードルをぶっつぶせ!
カップヌードルをぶっつぶせ!―創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀 (中公文庫)カップヌードルをぶっつぶせ!―創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀 (中公文庫)
(2010/11/20)
安藤 宏基

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カップヌードルをぶっつぶせ!―創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀
安藤宏基【著】
中央公論新社(中公文庫)刊
2010(平成22)年10月発行


書名を見て、カップヌードルの商売敵の本かと思ふかも知れませんが、実はカップヌードルを開発したその会社、日清食品の二代目社長の本であります。
日清食品の創業者は、立志伝中の人・安藤百福氏。チキンラーメンとカップヌードルで世界を驚嘆させた人物であります。この二つで、袋即席めんとカップめんの最終形態をイキナリ創り上げてしまつたのであります。

かかるスゴイ物を開発した創業者の後を継ぐのは、並大抵の覚悟では務まらないでせう。宏基氏が会社の経営を受け継いだ時、社内にはセクショナリズムや官僚主義が跋扈してゐたと言ひます。商品開発も停滞してゐて、革新的な新商品が生まれるやうな雰囲気ではなかつたさうです。
その原因は、カップヌードルといふ絶対的なトップブランドに依存する「甘えの構造」だつたと宏基氏は指摘してゐます。

「創業者の開発商品であるカップヌードルは、みだりに触れてはならない聖域であり、ましてや、そのブランドイメージに傷をつけたり、シェアーを奪うような新製品を発売するわけにはいかない。誰もがそう信じていた」(第一章より)

この状況を打開すべく、カップヌードルを超える商品を開発せんとしてぶちまけたスローガンが、本書のタイトルとなつてゐるのでした。
確かにカップヌードルは強いねえ。以前某会社でお菓子とカップめんのバイヤーをしてゐた頃、やはり圧倒的な人気はカップヌードルでありました。各社から新商品が出ると、問屋から山のやうな試食用サンプルが送られてくる。嬉しがつたのは最初だけで、仕事としての試食がかくもつらいものとは思ひませんでした。美味しいものばかりではないしね。
で、やはりカップヌードルのシンプルさに勝るものは中中無いといふのが実感であります。

宏基氏はカニバリ(共食ひのこと。ここでは社内間競合かな)大いに結構と、カップヌードルを越える商品開発を進めるのでした。ブランド・マネジャー制度を立ち上げるなど、社内改革を次々と打ち出していきます。父である創業者との衝突は日常茶飯事でありますが、この息子も大したもので負けてゐませんでした。まあ百福氏と喧嘩できるのは、ほかにゐないでせうからね。
結果、「やきそばUFO」や「どん兵衛」などのベストセラー、ロングセラーを生み出し、日清食品の黄金時代を実現させたのであります。
創業者は異能の人、二代目は普通の人と著者は言ひますが、宏基氏は十分異能の人と申せませう。

また、社会的貢献にも触れてゐますが、成功する経営者はたいていこの視点を持つてゐるやうです。会社経営なんて結局金儲け一番さと思ふ人もゐるかも知れませんが、そんな会社は早晩消えてゐるみたいだね。さういへば先日、日清食品が賞味期限を延長するといふニュースがありましたが、これも本書内に「飢餓と飽食」問題として挙げられてゐました。やるなあ。

世の経営者の参考に...といふよりビジネス読み物としてまことに面白い一冊であります。読後わたくしは「やきそばUFO」が久しぶりに食べたくなり、近所のアピタで購買しましたことをご報告申し上げます。

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