源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ
ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ (講談社文庫)/面高 直子

¥610
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ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ
面高直子【著】
講談社(講談社文庫)刊
2010(平成22)年7月発行


戦後の混乱期、日本に駐留する米兵(コメヒョウに非ず)と日本人女性との間に生れた子供たちの多くが孤児になつたといひます。
孤児となつた理由はいろいろあるでせうが、歓迎されざる存在として生を受けたといふ点で共通点があります。
さういふ孤児たちを引き取り養育してゐた施設の孤児院がありました。「エリザベスサンダースホーム」といひ、現在も創設者・澤田美喜さんの遺志を継いだ人たちが運営を続けてゐるさうです。

そのエリザベスサンダースホームで、本書でその短い生涯が語られる「後田義明=スティーブ・ヨシアキ・フラハティ」も同施設の出身であります。
実母はこころならずも、義明をホームへ託し、必ず迎へに行くと誓つたのでした...

義明はその後米国のフラハティ家の養子となり、米国人スティーブとして生きることになります。しかしあまりに繊細な彼は、スポーツの世界でヒーローにならうとも、米国人として受け入れられてゐないと感じてゐたらしい。
それが理由なのかは明確に語られませんが、野球界での輝かしい未来を約束されながら、スティーブは軍隊に志願します。しかも平時ではありません。ベトナム戦争が泥沼化してゐた最悪の時期でした...

本書が成立した事情もまことにドラマティックであります。面高昌義・直子夫妻の存在がなければ、彼の生涯はかうして世に出ることはなかつたと申せませう。その辺の経緯は読んでみて、と申し上げてをきます。

最近涙もろくなつてゐるなあ、と感じてゐる方は、ハンケチを用意して読まれることをお勧めするものであります。恥づかしながら、わたくしは後半ほとんど泣きながら読んでゐました。

では、ご無礼します。
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