源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
儲けすぎた男
儲けすぎた男 小説・安田善次郎 (文春文庫)儲けすぎた男 小説・安田善次郎 (文春文庫)
(2013/09/03)
渡辺 房男

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儲けすぎた男 小説・安田善次郎
渡辺房男【著】
文藝春秋(文春文庫)刊
2013(平成25)年9月発行


東京大学安田講堂などに名を残す安田善次郎。安田財閥を一代で築いた立志伝中の人であります。
わたくしにとつては、JR鶴見線の安善駅(安善町一丁目)の由来となつた人としての印象が強かつた。否、殆どそのイメエヂ。

ところでこの鶴見線とは、埋立地に新たに敷設した鉄道のため、その地名を付けるにあたり、関りの強い実業家や企業の名前から駅名(地名)が付けられてゐます。たとへば浅野総一郎(浅野駅)、大川平三郎(大川駅)、昭和電工(昭和駅)など。
まるで関係ないけれど、「大川平八郎」は、昔の東宝専属俳優であります。またの名を「ヘンリー大川」。大川平三郎とは、特に血縁関係はないみたいですね。

さて安田善次郎は元元富山藩の武家の出自でありますが、武家といいながら実態は経済的に困窮し、田畑を耕し農作物を売り歩く毎日だつたさうな。
かかる生活では将来の展望が見えてこないといふことで、善次郎は単身江戸へ出ます。

両替商を始めた善次郎。幕末の混乱期から明治維新の不安定な時期は、貨幣の価値もあやふやになり、明日も知れぬ毎日であります。同業者があたふたする中、善次郎は大きな賭けに出るのでした...

安田善次郎といへば、巨額の財産を得ながらそれを社会に還元しない守銭奴との評も聞くのでありますが、本書を読むと、必ずしもさうではないことが分かります。本人は「陰徳」を心がけてゐたさうなので、中中表面に出なかつたのでせう。実際、近年は安田善次郎再評価が進んでゐるといふことです。

『儲けすぎた男』は、小説としては些か華が足りないやうな気がしますが、安田財閥の興亡を俯瞰するのに恰好の一冊と申せませう。
通勤などで安善駅を利用する皆様も、たまには安田善次郎に思ひを馳せていただきたいと愚考するものであります。

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