源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
大暗室
江戸川乱歩全集 第10巻 大暗室 (光文社文庫)江戸川乱歩全集 第10巻 大暗室 (光文社文庫)
(2003/08/08)
江戸川 乱歩

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大暗室(江戸川乱歩全集 第10巻)
江戸川乱歩【著】
光文社(光文社文庫)刊
2003(平成15)年8月発行


大乱歩、生誕120周年ださうです。
さう聞くと、何か読みたくなつたので、我が家の本棚から『大暗室』を取り出したのであります。わたくしが所持するのは角川文庫版ですがね、ここでは入手しやすい光文社文庫版を挙げるとしませう。

大暗室。タイトルからしてすでにおどろおどろしい。登場人物は、悪の天才・大曽根竜二と正義の青年・有明友之介、そして有明君の父親に仕へてゐた忠臣・久留須の三人が主要なところでせう。
大曽根の父は有明の父母を殺した悪い奴。そして大曽根と有明は実は義理の兄弟なのであります。

親子二代に渡る復讐劇ともいへますが、本書の眼目は何といつてもタイトルにもなつてゐる「大暗室」。悪の権化・大曽根君がその財力に物をいはせて帝都東京の地下に創り上げた、一大ユウトピアと申せませう。無論常識人にとつてはおぞましい地獄以外の何ものでもないのであります。

現在の読者には噴飯物の設定かも知れません。登場人物の性格付けは実にステレオタイプであるし、ストオリイも結末が容易に想像が付いてしまひます。
でもね、それで良いのです。王道の勧善懲悪、正しい荒唐無稽。川内康範的痛快娯楽活劇。とにかく無条件で面白い。いたづらに複雑化した現代の物語に慣れてしまつたわたくしたちは、いつのまにかかういふ世界を莫迦にすることで自分が進化したやうな錯覚に陥つてゐたのではないでせうか。

あ、違ひますか。それならいいけど。

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