源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
映画芸術への招待
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映画芸術への招待
杉山平一【著】
講談社(講談社現代新書)刊
1975(昭和50)年8月発行


大学時代に、著者の講義を聞いた記憶があるのです。多分客員といふ立場だと思ふのですが。
こんなあやふやなことしか言へないのは、あまり真面目な学生ではなかつた証左と申せませう。

さて本書は映画の芸術性についての論考が中心であります。
その昔ドイツの美学者コンラート・ランゲといふ人は、映画非芸術論を展開したさうです。
映画は絵画や文学と違ひ、現実をそのまま映すだけではないか、誰が撮影してもやはり同じものしか映らない、かかるものは芸術とは言へまい。乱暴にまとめればさういふことです。

著者はランゲの主張を退ける形で、モンタージュをはじめとして様様な技法の歴史を開陳します。また、映画表現は制約があるがゆゑに作品に深みが出るとの指摘は首肯するところであります。
さらに、似て非なる演劇との比較や、逆に相反すると思はれがちな文学との近似を平易なる文章で解説をするのでした。

若干気になりますのは、著者はどうやら「芸術」なるものを神棚のやうな一段高いところに奉り、映画もその仲間である高尚なものなのだよ、と内心考へてゐるのではないか、といふことであります。
さういふ一種の「臭み」を除けば、まことに読みやすい入門書と申せませう。

映画芸術への招待 (講談社現代新書 409)/杉山 平一

¥663
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