源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
中国という大難
中国という大難 (新潮文庫)中国という大難 (新潮文庫)
(2013/04/27)
富坂 聰

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中国という大難
富坂聰【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2013(平成25)年4月発行


テレビでもお馴染みの富坂聰氏が、その取材力・人脈を駆使して公にする中国レポートであります。
本書では一般の報道では伝へられてゐない事項がわんさと盛り込まれ、門外漢のわたくしにとつては「ほほう」と唸る事実が多いのです。俺だけか?

六章構成なのですが、そのうち第一章と第二章だけでも十分なイムパクトがあります。
第一章は「三峡ダムが中国を滅ぼす」と題し、環境汚染の実態をルポしてゐます。まあ大体の事情は各種報道で分かつてゐる積もりで読み始めると、想像以上のひどさに唖然とするのであります。

特に水の問題。北京オリンピックを機に、河川を汚染する企業が摘発され、北京周辺から排除されました。おかげで外国人の目に触れる部分はキレイになつたやうに見えます。しかし実態は、さういふ企業は地方に追ひやられただけで、別の場所で更なる汚染を引き起こしてゐました。著者は取材のため、特に汚染が酷い場所まで車で案内されるのですが、「近づけば悪臭で分かるから」といふ理由で窓は開け放しだつたさうです。

わたくしもごく最近、同乗者ふたりを乗せて車を運転してゐましたが、先に降りる一人が、下車寸前に何と放屁を爆発させたのであります。これが猛烈な悪臭を放ち、涙が出るほどでした。本人は涼しい顔で「ぢや、お先にー」などとうそぶいて去つてしまひ、残るわたくしとあと一人は「くそつ、あいつ何を喰つたらこんな臭い屁が出るんだ!」と窓を全開にして苦悶したことであります。

おそらくそれの数倍から数十倍(計測できるのか知らないが)もある悪臭の中で、日常を送らねばならぬ地元住民。無論住民たちは抗議行動を起こすのですが、浄化工事もままならぬやうです。こんなところにも都市と地方の格差はあるのですね。
著者の取材に応じた若い中国人ビジネスマンの話。「中国の経済発展を止めるのは不良債権でも人民元の切り上げでもなく、まさにこの“水”なんじゃないかって」 
さうすると中国が狙ふのは...? 日本も対岸の火災視できなくなるであらう、と著者は言ひます。

第二章は「汚職天国」であります。中国の腐敗ぶりは巷間でも伝へられるところ。しかし昨今始まつたものでもなく、中国何千年の歴史は汚職の歴史といふくらゐ根が深い。
むろんどの国でも汚職はありますが、中国の役人が汚職と無縁で生きることはまことに困難。摘発する側より、享受する側に廻らうと考へても不思議はありません。

習近平くんも腐敗撲滅に取り組んでゐるポオズを見せますが、単に政争の具と化してゐます。人民の支持を得やうとする時、「日本叩き」と並んで有効なのが「腐敗摘発」らしい。しかし本書を読んだ後では、本当の意味の腐敗撲滅は不可能であることが分かります。

長くなるので第三章以下については省略。
別に他所の国の問題だから、そんなに深刻に受け取らなくてもいいぢやん、と考へる向きもあるかも知れませんが、現在は鎖国時代ではありませんからな。
すでに中国とは相当の関りを持つてしまつたわが国ですから、中国の「大難」はそのまま日本の「大難」に直結する恐れがあると申せませう。剣呑剣呑。

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