源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
マクベス
マクベス (新潮文庫)マクベス (新潮文庫)
(1969/09/02)
シェイクスピア

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マクベス
ウィリアム・シェイクスピア【著】
福田恆存【訳】
新潮社(新潮文庫)刊
1969(昭和44)年9月発行
1992(平成4)年2月改版
2010(平成22)年8月改版


今年は沙翁の生誕450年なのださうです。その作品はいまだに読み続けられてゐて、現役の作家に伍する存在感があります。
日本語訳に関しては、故福田恆存氏のものが止めを刺すと思はれますが、それ以後もさまざまな人が沙翁作品の邦訳に挑んでゐます。素材としてもそれだけ魅力的なのでせう。
この『マクベス』も、四大悲劇のひとつに数へられるだけあつて、根強い人気があります。こんな荒唐無稽なストオリイなのに、どういふ訳でせうか。

さてマクベスはスコットランドの武将であります。そのマクベスの前に、三人の魔女が登場します。この魔女たちの存在が『マクベス』に大いなる味はひを与へてゐるのです。「きれいは穢い、穢いはきれい」
マクベスは魔女たちに「いずれは王ともなられるお方!」などと煽てられ、気になつてしまふのです。現在の王は健在なのに...

普通なら笑ひ話として看過するであらうところを、考へ込んでしまふマクベスの一本気。女房からそそのかされたとはいへ、結局は自らの意思でダンカン王を殺害してしまひます。あとはもう勢ひで、従者たちを殺し、政敵バンクォーを殺し、バンクォーの息子も殺さうとしてこれは失敗、さらにマクダフの妻子をも殺すといふ殺人ショーぶりであります。
魔女から「女の股から生まれた者にはマクベスは倒せない」との言葉をもらつたマクベス。誰でも女から生まれたに相違ありません。しかし最期はマクダフにやられてしまひます。では予言は外れたのかといふと、さうでもありません。一休さんみたいな落ちが待つてゐました。

どんな人間の心にも、多かれ少なかれ潜む野心や猜疑心。しかしマクベスは理性よりも本能が勝つてしまつたのでせう。さういふものが無ければ、魔女の言葉にもマクベスは毅然と対応できた筈であります。
さういへば、沙翁の個人全訳を成し遂げた小田島雄志氏は、次のやうな要旨の発言をしてゐました。「シェイクスピアは、人間かくあるべしみたいなことは言はない。ただ、人間はかういふものだと我々の眼前に提示するのみである」と。うーむ。

『マクベス』は、沙翁作品の中でも短い部類で、ストオリイも一直線で読破するのに時間がかかりません。学生諸君には、読書感想文にもお勧めであります。
ぢや、又。

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