源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
近世大関物語
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近世大関物語
出羽海秀光/高永武敏【著】
恒文社刊
1981(昭和56)年発行


日馬富士の初優勝で盛り上がつた夏場所。一方、千代大海はやつとのことで角番を脱出。同じ大関でずいぶん違ふものです。
大関といへば横綱と並ぶ看板力士の筈ですが、なぜか物寂しい響きがあります。本書を一読しますと、ますますその感を強くするのであつた。
第一部と第二部に分かれる構成になつてゐます。第一部の著者出羽海秀光氏は、現在の出羽海親方ではなく、元横綱常ノ花の先先先代出羽海で、初版は1957(昭和32)年となつてゐます。
第二部はライターの高永氏が加筆し、改めて1981(昭和56)年に「共著」として出版されたものであります。

「あとがき」で高永氏も述べてゐますが、元横綱が書いた内容と、ライターが書いた内容では視点が角界の内外の立場で異なり、書き方が違ふのが面白い。
出羽海親方は先輩としての立場で執筆してゐます。素質を持ちながら、つひに横綱の夢ならなかつた悲運を愛情こめて語ります。特に大ノ里、清水川、名寄岩などには思ひ入れが強いやうです。
高永氏は評論家だけあつて、結構皮肉を交へて辛口であります。稽古嫌ひの若羽黒、無気力相撲の前の山などには容赦がありません。それでも栃光(先代)、貴ノ花(先代)、魁傑など愚直さが却つて仇となつた部分がある大関たちには暖かい視線を向けてゐるやうです。

第二部は増位山大志郎(二代)で終つてゐます。それから28年が経つた現在、誰かが第三部を書いてくれないかなと思ひます。琴風、朝潮(五代)、霧島、小錦、北天佑、若島津、貴ノ浪、出島、千代大海、雅山、武双山、魁皇、栃東(二代)、琴欧洲、琴光喜、日馬富士...続々と大関が誕生してゐます。言はば「つひに横綱にはなれなかつた男たちの物語」が我々の胸を打つのでせう(現役大関、失礼!)。

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