源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
ボトルネック
ボトルネック (新潮文庫)/米澤 穂信

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ボトルネック
米澤穂信【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2009(平成21)年10月発行


小学生の頃、とある偉人の伝記を読んでゐたら、その偉人が全体の3分の2くらゐのところで死んでしまつたのであります。
残る3分の1は、主役がゐなくなつた後のことが延々と述べられてゐました。
これはね、案外ショックなものです。年少の者は、その偉人に感情移入して読んでゐますから、まるで自分が死んでしまつたかのやうな不安定な心持になり、自分がゐなくなつた世界を想像できないのでした。
それ以降、幼いわたくしは、死といふものが誰にも等しく訪れるものだと知り、毎晩恐怖してゐました。世間の大人たちは、いづれ死ぬと分かつてゐるのに、なぜあんなに平気な顔をしてゐるのだらうと不思議にも思つたものです。

長ずるに及んで小説もどきを書くやうになつたわたくしは、「自分がいつも生活してゐる世界で、自分がゐない状況」を書いたのであります。
ちなみにタイトルは『アサッテ君の謎』としました。東海林さだおさんのファンだつたので。
あまりの下らなさに友人たちから褒められた記憶があります。

関係ない話をたうたうとしてしまひましたが、『ボトルネック』を読んでゐたら「ああ、わしの『アサッテ君の謎』と似てゐるな」と過ぎ去つた日々を想起したものですから。
むろん完成度とかは雲泥の差ですが。米澤ファンの人は怒らないやうに。

案外暗い世界を描いてゐるのに、最後に救ひが約束されてゐる訳でもないのに、読後は軽い感じですね。良い意味でこの著者の持ち味と申せませうか。

ところで文庫カヴァーには「青春ミステリの金字塔」とありますが、これはミステリなのでせうか。
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