源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
パンツが見える。羞恥心の現代史
パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書)パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書)
(2002/05)
井上 章一

商品詳細を見る

パンツが見える。 羞恥心の現代史
井上章一【著】
朝日新聞社(朝日選書)
2002(平成14)年2月


白木屋ズロース伝説」は眉唾の風評であつた! 
何といふショッキングな(私にとつて)主張でせうか。
念のために、「白木屋ズロース伝説」とは何かを少しここで復習しませう。

1932(昭和7)年12月のことであります。この年は谷啓が生まれた年ですが、話に関係ありません。
東京日本橋の「白木屋百貨店」で火事が発生しました。大火災です。
発生箇所の4階では、店員たちがカーテンや着物の帯などで即席のロープを拵へ、それを伝つて逃げやうとしてゐました。しかし当時の女店員は着物を着てゐます。和装であります。下着を穿いてゐないのが普通なので、ロープを伝つて降りたら、下から丸見えになつてしまふ。そんなはしたない姿を公衆の面前に晒せる訳がありませぬ。と、逃げるのを躊躇してしまひ、結果多くの女店員が若い命を落したのであります。
この大火をきつかけにして、世の女性たちは下着(ズロース)を穿くやうになつたのである...

私はこの話を完全に事実と思ひこんでゐました。いろいろな文献にも紹介されてゐます(なぜか「コラム」「こぼれ話」みたいな扱ひが多い)。ちなみに白木屋百貨店は後の東急百貨店ですね。なほ、白木金属工業(現・シロキ工業)は白木屋百貨店の子会社として発足した会社なので、今でも東急グループなのであります。これも関係ない話。
ところが本書の著者・井上章一氏によりますと、この大火によつて女性がズロースを穿くやうになつたといふのは嘘であるとの指摘であります。興味を抱いた私は早速購買、通読したのであります。まあ若干の助平心も手伝つたことも否定はしませんが。

要するに、おびただしい数の文献に当り、あるいは証言を集め、羞恥心に関る変遷を概観しながら白木屋伝説を否定する一冊と申せませう。その姿勢は一本気といふか、モノマニアックといふか、一種の感動さへ呼ぶものであります。力作に違ひありません。
...それでも私は、「白木屋ズロース伝説」は事実であつて欲しかつたな...

スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
http://genjigawa.blog.fc2.com/tb.php/242-6c54179d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック