源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
脂肪のかたまり
脂肪のかたまり (岩波文庫)脂肪のかたまり (岩波文庫)
(2004/03/16)
ギー・ド・モーパッサン

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脂肪のかたまり
ギー・ド・モーパッサン【著】
高山鉄男【訳】
岩波書店(岩波文庫)刊
1938(昭和13)年4月発行
1957(昭和32)年4月改版
2004(平成16)年4月改版


『脂肪の塊』といふ表記に慣れ親しんだ人が多いだらうと思ひますが、岩波文庫の新しい翻訳では『脂肪のかたまり』とひらがな表記になつてゐます。理由は知りませんが。
その脂肪のかたまりといふのは、この小説の登場人物である一人の娼婦のあだ名です。
フランス語で「ブール・ド・シェイフ」と呼ぶのを直訳したものですね。それにしてもあんまりなあだ名です。

その「ブール・ド・シェイフ」は乗合馬車で、6名のブルジョワジーと乗り合せます。皆俗物といふか、とにかくいやらしい人物として描かれてゐます。「娼婦」と乗り合せるなんて、何と汚らはしいことでせう、などと彼女に対する侮蔑を隠しません。
馬車は予定よりも大幅に遅れ、食事をする予定の土地までなかなか到着しません。皆が空腹で苦しんでゐる時にブール・ド・シェイフは、持参の食物を皆に与へて、刹那的な感謝を受けるのですが...

モーパッサンのブルジョワ嫌ひが実にストレートに表現されてゐますね。しかしブール・ド・シェイフのお陰で救はれたブルジョワどもが、最後に彼女に見せる仕打ちには腹が立ちます。彼女が屈辱に耐へられずすすり泣くラストシーンは、読後も心に残ります。夢に出てきさうな...
この救ひのなさを皆様にも味はつていただきたいと存じます。では。

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