源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
鉄道公安官
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鉄道公安官
島田一男【著】
春陽堂書店(春陽文庫)刊
1976(昭和51)年7月発行


鉄道公安官とは俗称で、正式には鉄道公安職員と呼ぶのですが、小説やテレビドラマなど、娯楽作品のタイトルとしては、やはり鉄道公安官がぴたりときます。
もちろんこれは国鉄時代の話。現在は鉄道警察隊ですね。

娯楽小説王・島田一男さんの『鉄道公安官』シリーズは、好漢・海堂次郎がさまざまな怪事件を解決してゆく昔ながらの探偵小説の趣を持つてゐます。
「スリ団の一味をさがしに乗りこんだ上り急行“出雲”で事件は発生した!(中略) 大阪から乗った客、東都工業大学助教授大久保秋郎が東京・熱海間で寝台車から姿を消してしまった!? 大久保はガソリンのG組織に関するいっさいの研究結果を一千五百万円で三洋石油へ譲渡したという。G組織とは!? 大手会社の三洋石油とは!? 鉄道公安官の鋭い探索は開始された! 大久保の妻かつ子とその愛人安積英彦が殺害され、大久保も水死体で発見された! 真相を追う鉄道公安官のまえに出現した真犯人は!?」(春陽文庫版のカバーより)

どうです。王道でせう。海堂次郎の性格付けは、後期の作品よりも品行方正な印象であります。理由として、シリーズ初期は、「私」といふ一人称で語られることがありませう。
かういふ小説は、三人称で作者が突き放したやうな文体がよろしい。はたせるかな、後期は海堂氏、かなりはめを外してゐます。
ドラマの鉄道公安官では、鉄道用地内を離れた事件も公安官がどこまでも捜査に加はり、犯人を殴り倒したり被害者に説教したりするのですが、さすがに我らが海堂次郎は、警察に事件を引き継ぎます。なんだつまらないと思ふなかれ。いざとなれば大活劇も辞さない側面も持合せてゐるのです。

現在は絶版。私が所持するのは春陽文庫版ですが、徳間文庫版なら今でも入手できるのではないでせうか。


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