源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
表裏源内蛙合戦
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表裏源内蛙合戦
井上ひさし【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1975(昭和50)年3月発行


平賀源内は不器用なのか、器用貧乏なのか、とにかく評価の幅が大いにぶれる人物であります。
一つことに専念できず、いろいろ手を出した挙句、どれも中途半端で大成できなかつたといふ印象ですね。
作者は源内のことを他人とは思へないと書いてゐますが、両者は大きな違ひがありますよね。
井上ひさしさんは数十年に渡り劇作の第一線で活躍してゐます。(小説も書きますが)その才能を無駄に分散させることなく活動を続けてゐるのです。

「表裏源内蛙合戦」は、題名の通り、表の源内と裏の源内が争ひながら、その生涯をなぞるお芝居。
表はいはば外づらですな。ええかつこしいです。裏の源内はどろどろした本音を語る、本能の部分と申せませう。
普通なら一人の人間の中に両者が存在して葛藤するわけですが、ここでは裏が独立した人格で存在するのであります。これは嫌ですねえ。だから表の源内は裏の源内を抹殺せんとするのですが...あ。

初演の演出は熊倉一雄さんださうです。一体どんな舞台になつてゐたのか、想像するだけで楽しい。当時の観客がうらやましいのであります。
本書にはもう一篇、「日本人のへそ」が収録されてゐます。作者の出世作で、これまた強烈なギャグ、風刺、駄洒落、語呂合せの勢揃い。腹を抱へるのであります。
井上ひさし氏初期の傑作2篇が同時に読める嬉しいカップリングなのに、絶版。ああ。

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