源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
ローカル線ガールズ
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(2008/01/16)
嶋田郁美

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ローカル線ガールズ
嶋田郁美【著】
メディアファクトリー刊
2008(平成20)年1月発行


第三セクター「えちぜん鉄道」に乗務するアテンダントの話です。
えちぜん鉄道の前身は、京福電鉄福井支社。わづか半年の間に正面衝突事故を二度も起し、国交省より運行停止命令が出された、あの電鉄会社です。
当時は、もう再開は無理だらうと思はれてゐました。このまま廃線になるのだらうと。
運行停止中の頃、私は福井を訪れ京福電鉄の情況も見て来ました。駅や線路などの施設は荒れ放題になつてゐたのです。本書でも少しふれてゐますが、閉鎖された駅舎やホームは芥の山で、弁当を食べた後の容器や空のペットボトルなどが散乱してゐました。目を覆ふ惨状。人心は荒廃してゐるなあ。
線路は錆だらけで、とてもここに再び電車が走る日が来るとは思へませんでしたね。

それが第三セクターで復活したといふことで、これまた話題になりました。本書を読むと、いかに多くの人が鉄道に頼つてゐたのかが分かります。しかし税金を投入してまで走らせる電車なので、失敗するわけにはいかない...
そして、えち鉄の誕生とともに導入されたのが女性アテンダントでした。車掌ではなくアテンダント。導入に際しては賛否あつたやうですが、「安全のための投資」の意味を込めて決定したさうです。

その「えち鉄アテンダント」のリーダー、嶋田郁美さんがその日常を教へてくれます。
アテンダントの主要業務は「切符販売・観光案内・乗降補助」が三本柱ださうです。しかし、基本的に乗客の要望には可能な限り応へるといふ姿勢で、沿線の植物についての質問、病院に耳鼻科があるかどうかなどの問い合せにも「わかりません」とは言へないのです。アテンダント同士の情報交換や各部署との連携、時には他の乗客からの情報も駆使して何とか対応します。この努力には頭が下がるのであります。

もちろん失敗もあり、乗客を怒らせてしまふことも。ほとんど嫌がらせのやうな苦情、マナーの悪い乗客とも格闘するしんどい仕事なのです。
それでもアテンダントたちは、仕事を嫌だと思ふことなく、それどころか常に反省して、よりお客様に喜ばれる方策を考へてゐるのです。何だか出来すぎですね。

接客にかかはる人たちには一読の価値があると思ひますよ。自らと比較して絶望するのも良いでせう。あるいはいつもブツブツ不平不満をもらす向きにも本書を読ませませう。少し大人しくなることでせう。

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