源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
汽車旅12カ月
汽車旅12カ月 (河出文庫)汽車旅12カ月 (河出文庫)
(2010/01/06)
宮脇 俊三

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汽車旅12ヵ月
宮脇俊三【著】
河出書房新社(河出文庫)刊
2010(平成22)年1月発行


汽車旅といふ言葉も死語に近いですね。
今の人たちは、鉄道車両のことを何でも「電車」と呼称します。大井川鐡道の蒸気機関車牽引列車に乗つた時、乗客の一人が「SL電車」と言ふのにはさすがに驚いた。一々訂正しても「ケッ、五月蝿いをやぢだぜ」などと煙たがれるのが関の山でせうから黙つてゐましたが。

しかし宮脇俊三さんの場合、まぎれもなく汽車旅なのであります。
「汽車旅12ヵ月」のタイトル通り、1月から12月まで、各月汽車旅をするにあたりどのやうな魅力があるのかを弁じた書物です。
例へば2月。厳寒の季節で観光客が減るのですが、その分指定券や寝台券はすぐに取れる。山陰へ行けばカニが美味い。といふわけで宮脇さんは毎年のやうに2月は山陰旅行を愉しんでゐました。
あるいは5月。黄金週間を過ぎれば絶好の旅行シーズンで、皆が敬遠する6月も旅館などが空いてゐるからサービスも良い、また昼が長いので観光に時間を多くさける。
なんだかんだ言つて汽車旅に出かける口実のやうにも思へて、微笑ましくなります。

もつとも本書の初版は1979(昭和54)年。旅行事情も今とは大いに違ひますので、ガイド本としては期待しない方がいいでせう。老婆心ながら。あくまでも宮脇俊三といふ紀行作家の鉄道エッセイとして堪能すれば良い。
今年になつて河出文庫として再刊されたのも、版元がさういふ価値を認めたからでせう。
ではご無礼します。さやうなら。

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