源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
追憶の夜行列車
追憶の夜行列車追憶の夜行列車
(2005/04)
種村 直樹

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追憶の夜行列車
種村直樹【著】
SiGnal刊
2005(平成17)年4月発行


最近鉄道の話題は暗いものが多いのです。
近所を走る名鉄三河線からは7700系電車が引退し、これで「パノラマカー」一族はすべて姿を消してしまつた。
もう涙も涸れてしまひました。

全国的には、夜行列車の削減が話題となつてゐますね。先日も特急「北陸」・急行「能登」が運転休止となり、ニュースなどでもとりあげられました。
しかしこの流れは、実はすでに国鉄末期から始まつてゐたのですね。分割民営化により、複数会社にまたがる長距離列車は廃止の方向に向かひ始めたのです。
さう、JRになってから現在に至るまでじわじわと夜行列車の本数は減つてきてゐます。ダイヤ改正の度に時刻表から夜行列車がひとつ、またひとつと消えてゆく。ああ。

『追憶の夜行列車』は、レイルウェイ・ライターの種村直樹さんが平成以降に書いた夜行列車の記事の傑作選です。
ちやうど夜行列車の衰退期に当ります。
<Ⅰ>では急行「八甲田」の最終列車のルポがあります。これは珍しいことです。種村さんは、お別れやさよならは好きではなく、かういふイベントは敬遠する人だからです。

ローカル線にしろ列車にしろ、つきつめていえば利用者が少ないから廃止されるのだし、日ごろは深いつきあいもないのに、なくなると聞いてさびしい、残念だ、けしからんと騒ぎたて、あげくの果てに“さよなら祭り”になってしまうのが嫌なのである

まつたく同感であります。最近は「葬式テツ」なる人々が増えてゐるやうなので、同意を得にくいかも知れませんが。

ちなみに本書でとりあげた夜行列車のうち、「八甲田」「能登」「ムーンライトながら」「大垣夜行」「さくら」「日南」「あかつき」「はやぶさ」は2010年3月現在すでに廃止もしくは臨時列車化されてゐます。
今田保さんの解説にあるやうに、「残るのは「カシオペア」と「トワイライトエクスプレス」のみ(あるいは全廃)という事態さえ、残念ではあるが考えられないことではないと思われる」。そしてそれは近年現実味を帯びてきました。

空路の最終便より遅く出発できて、空路の朝一番よりも早く目的地に着ける。移動しながら睡眠がとれる。そんな良い点が多い夜行列車。工夫次第で生き残る事は出来ただらうに、分割されたJR各社の思惑などが邪魔をし、再生させることなく夜行列車は終焉を迎へやうとしてゐます。
まさに「追憶の夜行列車」になりつつあるのでした。

なほ、本書の版元「SiGnal」は「地方小扱」ですので、本屋の店頭にはあまり並ばないと思ひます。
名駅前の「ジュン○堂」にはありましたが。
ではさらば。

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