源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
私家版 日本語文法
私家版 日本語文法 (新潮文庫)私家版 日本語文法 (新潮文庫)
(1984/09/27)
井上 ひさし

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私家版 日本語文法
井上ひさし【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1984(昭和59)年9月発行


井上ひさしさんが、新潮社のPR誌「波」に連載した日本語文法エッセイであります。もう30年くらゐ前の作ですが、内容は古さを感じさせません。「波」とは、本屋さんが無料でくれるものです。なにしろPR誌ですからね、他にも「図書」(岩波書店)・「青春と読書」(集英社)・「本の旅人」(角川書店)・「ちくま」(筑摩書房)などは、よくもらつてゐました。本屋に就職してからは急速に興味を失つてしまひました。不思議なものです。
それはともかく、その「波」に34回、まる3年間に渡つて書かれたものなのに、まるで書き下ろしのやうな統一感があります。本来無味乾燥な文法の話ですが、本書は全く違ひます。それどころか、抱腹絶倒と言つてもいいでせう。
こんな文法講義ならば、毎回欠かさず出席して拝聴したいと思はせます。

日本語の正書法が存在しないとの指摘はここでもあります。そもそもそれを認めず、日本中津津浦浦同じ言語を駆使してゐるといふ前提に立つのが従来の国文法ではないでせうか。
本書で感じるのが、形容詞や副詞などの、「飾る」言葉へのこだはり。紋切り型の文章を避けやうとすれば、日本語ではたちまち修飾語に行き詰ります。劇作家兼小説家の作者としては、常にもどかしい思ひをしてゐたのではないでせうか。
ほかに、漢字の問題や、仮名遣ひ、句読点、擬音、外来語など、論は広範にわたります。引用する文章も、いはゆる名文ばかりではなく、新聞のチラシ・市民憲章・落語・歌謡曲の歌詞・少しエッチな本など身近なものを取上げるのです。

文句の付けやうがない快作でございますが、一点だけ訂正したい箇所があります。「擬声語」の章にて、「ゴルゴ13は本名を東研作という国際的な殺し屋で」とありますが、東研作はもう死亡してゐることが劇画中で明らかにされてゐますね。その後も「この人物が現在のゴルゴ13ではないか?」といふエピソードは繰り返し出てきますが、どれも否定されたり、真相は闇の中だつたりして、現在に至るまで彼の正体は分からないのであります。
ま、どうでも良いことですがね...

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