源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
なぜ起こる鉄道事故
なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫)なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫)
(2005/07/15)
山之内 秀一郎

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なぜ起こる鉄道事故
山之内秀一郎【著】
朝日新聞社(朝日文庫)刊
2005(平成17)年7月発行


著者の山之内秀一郎氏は元JR東日本会長であります。
例の福知山線脱線事故が起きたのが2005年4月だから、この文庫版が出る直前とも言へませう。世間の目が、鉄道事故に対して厳しくなつた頃でせう。タイムリーとも言へるが、間が悪いとも申せませう。
章立ては4章からなりますが、鉄道が誕生して以来の、鉄道事故の歴史を時系列で述べてゐます。第3章のあたりから著者が実際に経験した時代になり、書き方にも変化が表れます。

それにしても鉄道黎明期の事故の多さ、未熟さには仰天するばかりであります。まづは走らせる事が第一で、止めることは二の次の時代があつた。走らせるだけですごいだらう、と言はんばかりであります。事故が起きたら、繰り返さぬやうに対策を進めるといふ、安全対策としては完全に後手に回つてゐたのでした。
安全対策の一つの完成形といふべきものが、東海道新幹線であります。悪い言ひ方をすれば、人間を信用しないシステムと申しますか。しかし本書でも触れられてゐるやうに、旧国鉄では組合問題が厳然としてありまして、改革は進まなかつたのであります。折角世界に冠たる新幹線も、諸外国の追ひ上げを受け、しばしば追ひ越されてきました。
組合は「俺達のウデを信用しないのか」といふが、問題のすり替へでありませう。仮に運転士が居眠りして夢を見てゐても、安全に停止するシステムが必要だつたのです。無論居眠りを奨励するわけではありませんが。

著者は言ひます。新幹線が安全であるのは、そのシステムに理由がある。しかしだからと言つて「安全の最後の決め手はシステム」といふ訳ではなく、やはり最後の決め手は人間だと思ふと。ただそれが安易な精神論に陥るのを恐れるとも述べてゐます。その言やよしと申せませう。かかる人物がトップにゐるなら、差し当たり安心であります。
しかし、一部の意見で、JR西日本にもこんな人材がゐたなら福知山線事故は起きなかつただらう、といふのは違ふねと思ひます。西と東では周囲の環境がまるで異なつてゐるとだけ述べてこの場は去ることにいたします。
(そもそも乗り物は危険がいつぱいであることを認識して利用した方が良い)

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