源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
騙し絵 日本国憲法
騙し絵 日本国憲法 (集英社文庫)騙し絵 日本国憲法 (集英社文庫)
(1999/04)
清水 義範

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騙し絵 日本国憲法
清水義範【著】
集英社(集英社文庫)刊
1999(平成11)年4月発行


憲法記念日にかこつけて、こんな本を取上げます。
もちろん清水義範氏でありますから、七面倒な憲法の理論や理念を語るわけではありません。しつかりと日本国憲法のパスティーシュもあります。

「二十一の異なるバージョンによる前文」では、文字通り様々なパスティーシュが現れます。すべての元ネタが分かれば申し分ないのですが、無知な私には分からないものがあって、まことに残念であります。
長嶋茂雄・大江健三郎・名古屋弁・白波五人男・取扱説明書・谷崎文章読本(「憲法に実用的と芸術的の区別はない」には笑つた)・フィネガンズウェイク・東海林さだお・サラダ記念日・折々のうた・ソクラテスの弁明などが次々と登場します。「裏見酒乱」では、「おもいだしまんが 憲法とわたくし」と題して西原理恵子さんのマンガが突如出現して吃驚します。「くそっ、テーマにむりがないか」などと毒づきます。

第一章「シンボル」から第三章「ハロランさんと基本的人権」までは、日常のパスティーシュ小説でありますが、柏木誠治と違ひ色色とドラマティックな出来事が起こります。登場人物たちは天皇や憲法、人権などについて、否応なく考へざるを得ない立場であります。時に理屈つぽく、若干説教臭かつたりしますが、それはこの作者独特のものなのです。
第四章-第八章は寄席のパスティーシュ、第九章・第十章は再び小説の「亜匍驢団の掟」となります。この小説の最後に「大矛盾」が紹介されてゐます。憲法九十六条で、憲法改正は議員の三分の二以上の賛成が必要といひながら、第九十九章では国会議員は憲法を尊重し擁護する義務を負ふとなつてゐることであります。確か佐高信氏が次のやうに述べてゐました。ここで国民ではなくわざわざ国会議員(正確には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」)となつてゐるのは、憲法をいぢくりさうな心配があるのがこれらの人々だからであると。

巻末には付録として日本国憲法がついてゐます。親切であります。
憲法記念日といつても、せつかくの黄金週間に難しいこと考へたくないよ、といふ人でも面白くあつといふ間に読めるのであります。ではさようなら。

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