源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
素晴らしき特撮人生
素晴らしき特撮人生素晴らしき特撮人生
(2005/08)
佐原 健二

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素晴らしき特撮人生
佐原健二【著】
小学館刊
2005(平成17)年8月発行


池田駿介さんが亡くなつてしまひ、また一人特撮の顔といふべき俳優が姿を消してしまひました。
池田さんの南隊員、良かつたですね。まさに頼れる兄貴といふ感じで。念のためにいふと、『帰ってきたウルトラマン』の話ですよ。主役の郷秀樹隊員(団次郎さん)が、西田健さんの岸田隊員にいぢめられるのをまあまあと庇ひながら、チームワークを崩さない役どころは、まさに池田駿介さんそのものでありました。

さて、特撮俳優の代表といへば、誰の名前が挙がるでせうか。故・平田昭彦さんは存在感抜群だが屈折してゐるし、土屋嘉男さんはキハモノに走り勝ちであります。すると、さうですね、やはり佐原健二さんを措いて他にないでせう。
何よりスター性があります。あの爽やかな笑顔で登場すると、場面の空気ががらりと変るのです。

『素晴らしき特撮人生』は、佐原健二さんが初めて語る半生の書であります。
第1・2章は代表作『ウルトラQ』をはじめとする円谷プロでの話が中心になつてゐます。主役の万城目淳役を告げられた時のシーンは良いですね。本多猪四郎監督と円谷英二特技監督が二人揃つてロケ先のハワイまでやつてきて、佐原さんに直接出演依頼をしたさうな。これは誰でも感激することでせう。しかし東宝での撮影と違ひ、予算的に苦しかつたやうです。

第3・4章は俳優になつたいきさつから、東宝特撮映画の顔となるまでが語られてゐます。「本多組」の愛すべき面々、役作りのために歯を抜いた『マタンゴ』、悪役に挑んだ『モスラ対ゴジラ』...

第5章は『ゴジラ』シリーズに関してあれこれ。ここで驚いたのが、平田昭彦さんが、実は『ウルトラQ』の万城目淳役をやりたがつてゐて、本多猪四郎監督にも「なぜ自分ではないのか」と直談判したことがあるといふのです。ちなみに本多監督の答へは、平田さんと佐原さんをそれぞれ「陰」と「陽」で分けて考へてゐる、といふことでした。従つて万城目淳は佐原健二だと...しかし平田版の万城目淳も想像すると、夢が膨らむのであります。

第6章は近年の出来事が中心。『ゴジラ ファイナルウォーズ』で使用した小道具(IDカード)を手に入れるくだりは、微笑ましい。

佐原さんは『空の大怪獣ラドン』以来、主演が中心だつたのですが、次第に脇に回ることが多くなります。そのあたりの心境を、「あとがき」で正直に告白してゐます。しかし本多猪四郎監督のアドバイスで、結果的にプライドを得ることができたと語るのです。本多監督、さすがですね。

当時の映画界・TV界の実情についても、貴重な証言が多くあります。佐原健二さんを知らなくても、特撮ファンでなくても興味深い1冊と申せませう。

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