源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
英語と私
英語と私英語と私
(1970/07/25)
松本 亨

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英語と私
松本亨【著】
英友社刊
1958(昭和33)年10月発行
1970(昭和45)年7月改訂


NHKラジオ「英語会話」の講師を長年担当した松本亨氏。もつとも私が「英語会話」を聞き始めた時はすでに退いてゐて、講師は東後勝明氏に代つてゐました。ネイティブゲストはマイケル・ジョン・リトルモアさんとデブラ・ロハスキーさんだつたと記憶してゐます。マイケルさんは、自分の名前はリトルモアだが、もう少しといふ意味ではないなどとつぶやいてゐました。東後先生がマイケルさんに呼びかける時は、「マイコォ」と聞こえました。

さて本書は松本亨さんがいかに英語に関つてきたかを中心に述べる自叙伝とでも申せませうか。
彼が初めて渡米したのは1935(昭和10)年。もうすでに戦雲は漂つてゐたやうです。そして滞米中に日本は真珠湾攻撃で宣戦布告します。当然日本人である松本さんの立場は悪化するのであります。
しかし持ち前の英語力で各地で講演を重ね、反日家たちの理解を得ていきます。むしろ同じ日本人たちからのやつかみの方が辛かつたのではないでせうか。

今でこそ「英語で考える」といふ思想は珍しいものではありませんが、昔の(今も?)英語教育は、文法中心で、英文和訳が幅を利かせてゐました。会話をしても、頭の中で相手の英語を和訳し、返答を日本語で考え英訳した上で口に出すといふプロセスでは、とても英語は身につかないと主張したのであります。
英語が不得手なために、日本は国際社会に於いて不当に貶められたり、不利な扱ひを受けたりするのを目の当たりにしてきて、そのたびに歯軋りして悔しがつた松本亨さんだけに、拝聴するに値する内容となつてゐます。

語学習得については、近道はないやうです。楽をしたいと思つた瞬間に上達は遠のいて行くのでせう。古い本ですが、現在でも十分通用するのであります。今はさまざまなツール類が揃い過ぎて、学習者を過保護にしてゐるきらひがありますね。利用できるものは利用すればいいと思ひますが、手を抜いてはいけません。

ところで本書の最後のあたりで、森といふ人物が出てきます。この人はのちの松本亨高等英語専門学校の代表になる森喬伸氏にほかなりません。業務上横領などで逮捕されてしまひましたが(その後無罪となる)、若い頃は松本氏に傾倒して純粋に英語教育に身を捧げやうと決意してゐたに相違ありません。今でもテコンドー連合の会長なのでせうか。英語教育一筋に生きてきた師匠の背中を見なかつたのか......

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