源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
鉄道地図 残念な歴史
鉄道地図 残念な歴史 (ちくま文庫)/筑摩書房

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鉄道地図 残念な歴史
所澤秀樹【著】
筑摩書房(ちくま文庫)刊
2012(平成24)年1月発行


元々山海堂といふ出版社から出てゐた、『鉄道地図の謎』なる本の改題発行であります。
内容からすると、改題して正解と申せませう。
まあ、鉄道地図からみた、日本の鉄道史とでも言ひますか。所澤節が全開でございます。念のためにいふと、スイッチバックとか短絡線とかルウプ線とか、さういふ類のものではありません。

原著では「路線図に隠された鉄道の憂鬱」といふサブタイトルが付されてゐました。
誰が憂鬱になるのか。著者でも読者でもなく、路線そのもののやうです。
つまり、常に政争の具にされ続けた、鉄道路線の憂鬱であります。彼らだつて、自ら望んで誕生したものばかりではないのです。

地元代議士の都合で作られた路線は、結局赤字を生み出し、国鉄の経営を圧迫しました。民営化が迫ると、今度は一律の官僚的基準でどんどん廃線となります。路線ごとの「名称」が優先されて、実情は無視されました。

また、近年新たに噴出してゐるのが、整備新幹線との「平行在来線」問題であります。
すでに「東北本線」「信越本線」「鹿児島本線」などの在来線が分断され、なんとも見つとも無い姿になつてゐます。これを憂鬱と言はずして何と言ひませうか。
今後も「長崎本線」「北陸本線」「函館本線」などで、同様の問題が起きるでせう。

残念な歴史は、実は始まつたばかりかも知れません。それを感じてゐる著者・読者は、やはり憂鬱にならざるを得ないのであります。

...それにしても、本書を発掘、再発行した筑摩書房はなかなかのものであります。
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