源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
わが愛の譜
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わが愛の譜 滝廉太郎物語
郷原宏【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1993(平成5)年7月発行

夭折の天才音楽家、滝廉太郎の評伝小説であります。17年も前に出てゐたのですね。
当時は映画にもなつたやうで、カバー表紙も映画に出演した俳優の写真が使はれてゐます。風間トオルさんですな。

大分県の豊後竹田駅では、列車が到着すると「荒城の月」のメロディが流れます。
私は3度行つてゐますが、いい所ですね。初めて行つたのは学生時代でした。偶然といふか成り行きだつたのですが。
夜行列車「富士」で大分へ到着した私は、荷物をコインロッカーへ預け駅前をぶらついてゐました。すると雑踏の中、若い女性が話しかけてきました。「あんた、大分の人ぢやないね。東京? ふーん、愛知か」。手ぶらで歩いてゐたのに、なぜ地元の人ではないと見破つたのか、不思議でした。
そして明日の予定は?などと聞いてくるので、その時何となく「明日は竹田へ行く予定」と答へると、彼女の態度が一変したのであります。即ち突然尊敬のまなざしになり、言葉遣ひも丁寧になりました。
「きつと、あなたは素晴らしい人ね...今夜どこのホテルに泊まるの? まだ決めてゐない? それならうちに来ませんか。泊まつていけばいい」...彼女は一人暮しだといふのに、さういふ話をするのでした。いささか不安になつた私は適当な返事をして、その場を去つたのであります。
しかし何だか竹田を訪れなければいけないやうな気になり、翌日行くことにしたのでした。

短い生涯の中で、名曲を多く遺した滝廉太郎。改めて早すぎる死が惜しまれます。何となく彼は石部金吉タイプかと思つてゐましたが、本書では実に人間臭く描かれてゐます。せめて中年といはれる年代まで生きていたら、どんな曲を書いてゐただらうかと夢想せざるを得ません...

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