源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
天才 勝新太郎
天才 勝新太郎 (文春新書)天才 勝新太郎 (文春新書)
(2010/01)
春日 太一

商品詳細を見る

天才 勝新太郎
春日太一【著】
文藝春秋(文春新書)刊
2010(平成22)年1月発行


現在、時代劇専門チャンネルで「座頭市」シリーズ全26作品を放映中なのです。
シリーズ後半の「勝プロ」製作作品の中には未ソフト化の作品もありますので、まことにありがたいのであります。
で、改めて感じるのは、「座頭市は面白い!」といふことですね。カツシンがいつまでも長谷川一夫ばりの白塗り二枚目にこだはつてゐたら、彼は映画界から消えてゐたのではないでせうか。

カツシンは旧来の映画がいかに退屈であつたかを人々に悟らせやうと、自ら映画製作にかかはるやうになります。脚本にがんじがらめになる演出を否定し、現場で演出プランが決まつていくので、勝監督にとつて脚本はあつてないやうなものでした。予定された驚きとかを嫌ひ、「偶然=完全」などと説いてゐました。
その独特かつ斬新な理論に、本書のタイトルにもありますが、人々は彼を「天才」と呼称したものであります。
凡才の私には、カツシンが天才であつたかどうかの判定など出来るわけもありません。

『天才 勝新太郎』は、若い研究者である春日太一氏による評伝であります。
市川雷蔵に追ひつかうとしてもがいてゐた若手時代、勝プロ時代、黒澤明監督作品での降板、最後の「座頭市」で死者を出してしまつたことなど、情熱的に語ります。カツシンに対する愛情といふか敬愛の念が感じられるのであります。力作と申せませう。
しかし彼の生涯を俯瞰して見ますと、常に不満状態で、満たされることの少ない映画人生といふ感じがします。カツシンの死後、奥方の中村玉緒さんが(世間ではカツシンは好き勝手なことをしてきたといふ声に対して)、あの人は本当に好きなことをやれたのでせうか、と語りました。本心でせう。

スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
http://genjigawa.blog.fc2.com/tb.php/398-135509c6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック