源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
坊っちゃん
坊っちゃん (新潮文庫)/夏目 漱石

¥300
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坊っちゃん
夏目漱石【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1950(昭和25)年1月発行
1980(昭和55)年5月改版
2003(平成15)年4月改版
2012(平成24)年2月改版


夏休みといへば読書感想文。かういふものを強制するのは、読書嫌ひを増加させるものとして有害と申せませう。
自分の中高生時代を思ひ起せば、クラスの友人たちは読書嫌ひが多く、感想文を書くために課題図書を自ら選ぶ訳ですが、その際に「なるたけ楽にちやちやつと読めるやつを」と考へるのであります。
そして出来るだけ薄つぺらい本が良いといふことで、「新潮文庫の100冊」からカフカの『変身』なぞをチョイスする浅墓な奴が続出するのであります。ほかには『天平の甍』『悲しみよこんにちは』『ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン』なども。読み始めて一頁目から激しく後悔するのでした。

その点、この『坊っちゃん』は間違ひがない。親譲りの無鉄砲に始まり清のその後に至る最後まで、年少の読者も一気に読めるのであります。
わたくしが最初に購買した『坊っちゃん』は、新潮文庫版で120円でした。ちなみに更に薄い『変身』は、なぜか140円。
当時の担任教師・W先生は、その120円の『坊っちゃん』を見て「文庫も高くなつたのう」とつぶやいてゐました。

ま、今さらわたくしが古典中の古典である『坊っちゃん』を喋喋しても、いたづらに諸兄の目を汚すのみと思はれます。(ならば書くなと、ごもつともな意見が聞えてきます。)
ただ、今回読み直して気がついたのは、舞台である四国の地名はどこにも書かれてゐない、といふことでした。
今でこそ松山市が舞台であることは有名ですが、当時の読者は一読してすぐに分かつたのか?
多分さうではないのでは。だからこそ漱石氏はあれだけの悪口雑言を並べ立てたのではないでせうかね。
もつともわたくしには、愛惜の情がこもつた悪口にも見えます。
『私の個人主義』を読んだ人ならきつと頷くことでせう。



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