源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
日本のアクション映画
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日本のアクション映画
西脇英夫【著】
社会思想社(現代教養文庫)刊
1996(平成8)年8月発行


歳を重ねると、病の治りが遅い。近年とみに感じるこの頃。
起きたり伏せつたりの日々でして、薬を飲んでやうやく通常の生活が戻つてまいりました。皆様も身体注意でございます。

映画評論家の西脇英夫氏が、その初期に発表した日本のアクション映画論であります。
本人もあとがきで「部分的に針小棒大にして誇大妄想の気味がなきにしもあらず」「恥を知らぬ若書きの為せるわざか、よくもこう大胆に、手前勝手な論陣を張ったものだ」などと述懐してゐますが、確かに随所に若さ溢れる評論集と申せませう。

さて日本のアクション映画といへば、まづ日活。
そこで最初の章では、日活アクションの歴史を概観してゐます。中期以降の、正義の味方になつた石原裕次郎に手厳しいのであります。
次いで日活のアクションスター・監督論。意外と小林旭のコメディ・アクションを高く評価してゐます。この人のアウトロー理論では、とるに足らぬ愚作群になるのかと思ひましたが。同時に渡哲也のチンピラぶりに喝采を送つてゐました。

東映東宝アクションを一章でまとめてゐます。東宝ではアクションスタアが不在であつたので、一章を設けるほどでもないからでせう。もつとも東宝は以前から「明るく楽しい東宝映画」を謳つてゐましたので、反社会的なアウトロー映画は少ないのは当然と申せませう。著者は「ご清潔東宝」と揶揄しますが。
大映時代劇映画論では、森一生・田中徳三・三隅研次・安田公義・池広一夫の五人の監督に絞りこんで論じた後半に新味を見ました。各監督が、映画会社から強いられたスタアシステムの中で、いかに自分の色を出さんかとプログラムピクチャーを連打してゐたのかを示し、今後は少し襟を正して拝見しませうと勘考した次第であります。
しかし大映時代劇が終焉を迎へたのは、「人斬り包丁の切れ味のみにたよっていたため」ではなく、単に市川雷蔵の死が最大の要因でせう。この辺は我田引水の感はありますな。
ま、アウトローが目立ち始めた頃から、日本映画は転落を始めたとも申せませう。

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