源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
ハーレムの熱い日々
ハーレムの熱い日々 (講談社文庫)ハーレムの熱い日々 (講談社文庫)
(1979/01/29)
吉田 ルイ子

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ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL
吉田ルイ子【著】
講談社(講談社文庫)刊
1979(昭和54)年1月発行


写真家の吉田ルイ子さんが、米国の大学に留学してゐた頃、即ち1960年代前半のハーレムをレポートした作品であります。
当初は黒人と握手もできなかつた彼女が、ハーレムの低所得者団地に住み、現地の人々に魅了されていく過程が記されてゐます。現地の人々とは、いはゆるワスプたちに差別され虐げられてきた黒人のこと。当時の米国は人種差別が公然と行はれてゐたのでした。(現在は「人権の国」を標榜する米国ですが、表に出ない、より巧妙な形で差別は存在するさうです。)
この国で暮らすと、嫌でも自分の肌の色を意識させられるやうです。きつと有色人種の中でもランク付けがされてゐて、その底辺に黒があると白人様は考へるのでせう。もつと悲しいのはさういふ思想に感化された日本人が同様の偏見を持つてしまふことであります。

しかし吉田ルイ子さんは負けずに写真を撮り続けます。普通なら尻尾を巻いて逃げさうな場面でも臆せず対象に迫つてゐます。その根底には人類愛があるのでせう、どこへ行つても「ルイ子、ルイ子」と親しまれるのでした。
現在のハーレムは以前のやうな貧困と犯罪の温床ではなくなつてゐると聞きますが、本書の価値は変らないのであります。むしろ、60年代のハーレムの熱い記録として、ますます存在感を増すと申せませう。

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