源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
みんなジャイアンツを愛していた
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みんなジャイアンツを愛していた
海老沢泰久【著】
文藝春秋(文春文庫)刊
1994(平成6)年10月発行


タイトルだけで拒否反応を示す人もゐるかも知れませんねえ。
ま、私もさうでしたから。海老沢氏ともあらう方が、何たること!なんてね。

しかしさすがに海老沢氏。冷静な分析であります。
まづ最初に、川上哲治氏が出会つた『ドジャーズの戦法』なる一冊の本から始まります。これにより日本のプロ野球は近代化を遂げたといふことで、川上氏の功績について語ります。川上氏といへば何かと評判が芳しくないのでありますが、この事実は評価されるべきでありませう。
そして川上野球が、「みんなが愛していた」ジャイアンツを完成させたと申せませう。

そのジャイアンツを、ミスターこと長島茂雄氏がをかしくしてしまつたとする。その後の藤田氏・王氏も昔のジャイアンツを取り戻さうとする動きを見せませんでした。海老沢氏の苛立ちが伝はる筆致であります。

次いで広岡達朗氏。この人は我がスワローズを球団史上初の優勝・日本一に導いた偉い人。
川上氏との確執からジャイアンツを去つたといはれてゐます。ところが川上野球をもつとも正統的に受け継いだのが広岡氏であるといふのも定説です。さりながら、広岡野球が開花したのはジャイアンツではなく、スワローズであり、ライオンズだつたのです。

そして他球団のライバルたち。江夏豊・平松政次・星野仙一の各氏であります。
皆それぞれの表現で、「愛されたジャイアンツ」を倒す喜びを語つてゐました。この辺まで読み進めると、タイトルの意味が分からうといふものです。

結局、ジャイアンツは強かつたから愛されただけではないのか、といふ疑念が浮かびますが、その辺は海老沢氏の筆力に心地よく騙されたといふ感じでせうか。

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