源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
普及版 世界文学全集 第Ⅱ期
普及版 世界文学全集〈第2期〉 (集英社文庫)普及版 世界文学全集〈第2期〉 (集英社文庫)
(1995/09)
清水 義範

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普及版 世界文学全集 第Ⅱ期
清水義範【著】
集英社(集英社文庫)刊
1995(平成7)年9月発行


「モルグ街の殺人」...某文庫から出てゐた翻訳を思ひだします。その翻訳はまことに大時代的な言辞を弄し、原文に忠実すぎて何を言つてゐるのか分かりにくく、高名な翻訳家から「欠陥翻訳」であると槍玉に挙がつてゐました。
清水氏の「モルグ街の殺人」は、そのまどろこしさまで感じられる作品になつてゐます。偶然かも知れませんが。

「三銃士」の樽谷安(たるたにあん)の物語も面白い。樽谷安の父は、作家を目指す息子に向つて訓示を与へます。

 「当節、作家は実入りのよい職業となり、その昔の貧乏文士はもはや伝説の存在、有名人よとおだてられ、望みとあればテレビに出まくり、小説に行きづまればエッセイと講演で何不自由なく暮してゆけるご身分なのだよ...

現在の作家と呼ばれる人たちを風刺してゐますが、思はずさうさうと頷き、具体的に二人三人顔も浮かんできます。小説家は小説を書くものといふ清水氏ならではの記述と申せませう。

「二十世紀の文学」といふ大いに壮大なタイトルの作品があります。カフカやサルトル、カミュや魯迅などからジョイスにいたるまで、文字通り二十世紀の世界文学大会であります。十分面白いけれども、やはり原典を知つてゐれば尚楽しめるでありませう。

ほかに「ファウスト」「嵐が丘」「白鯨」「ボヴァリー夫人」「罪と罰」を収む。

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