源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
新幹線
新幹線 (カラーブックス (593))新幹線 (カラーブックス (593))
(1983/01)
関 長臣

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新幹線
関長臣【著】
保育社(カラーブックス)刊
1983(昭和58)年1月発行


今年の10月1日で、新幹線の開業から丁度50周年を迎へたことになります。世間でも記念の行事や出版物、TV特番など騒がしいのであります。まづはめでたいと申せませう。

今でこそ、新幹線は世界に誇るニッポンの宝みたいに言はれることも多いですが(わたくしは、かういふ物言ひは好まない)、開通直後からしばらくは「速い」こと以外については、あまり喧伝されませんでした。
むしろ、そのマイナス面を指摘する声を聞いたものです。即ち。
「在来線特急がなくなり、高い新幹線か遅いダラしか選べない」
「3列シートは圧迫感を感じる」
「速いだけで旅情がまつたくない」
「高架からの眺めはつまらない」
「そんなに急いでどこへ行く」

言ひがかりとしか思へぬ意見もありますが、当時はかうした意見が一定の支持を得てゐた記憶があるのです。
特に国鉄は内外に問題山積で、国鉄の悪口は皆の注目を集める好餌となつてゐました。
そんな折、1982(昭和57)年、待望の東北・上越新幹線が新規開業、「ひかり」「こだま」以外の新幹線が登場し、久しぶりの明るい話題となつたのであります。

関長臣著『新幹線』は、そんな時代の一冊。表紙は当然のやうに200系が飾つてをります。デザイン的には東海道・山陽新幹線の0系を踏襲してゐて、窓枠の青いラインが緑に変つたくらゐで何だか保守的だなあと感じたものです。これも組合問題が背景にあつたとか。

著者は言ひます。「本来、新幹線は車両、軌道、信号、通信、電力などを一つのシステムとして完成させたもの」であると。
ゆゑに、技術を輸出する際にも、そのパッケージごと採用されるのが望ましいのですが、某国のやうに各国の「いいとこどり」でつまみ喰ひする場合もあつて難しいやうです。
もつとも本書では一般的な読者を想定して「車両」に重きを置いた編集となつてゐます。順当なところでせう。

本書の内容で気がついた点などを挙げますと、
・禁煙車が導入されてまだ日が浅く、16両中一両だけである
・普通車の座席は転換式クロスが基本(一部固定式も)である
・電気軌道総合試験車の紹介では、「ドクターイエロー」の名称がまだ一般的でないのか、言及されてゐない
・特急券と指定券が一枚で出てくる自販機の実験は岐阜羽島駅で始まつた
・仏国鉄TGVの最高時速がまだ260km/hである
・リニア実験線にも若干触れてゐるが、ここにも決まり文句の「実用化へ向けて前進」のフレーズが(何十年前進しても実現されない)

識者が見ればきつともつと次元の高い発見があるでせう。当時の新幹線を丸ごとコムパクトに紹介する一冊として興味深く読めます。まだ手に入るのかな?

...台風接近中。今夜は一杯呑んでさつさと寝ませうかね。


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