源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
左腕の誇り
左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)
(2010/02/26)
江夏 豊

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左腕の誇り―江夏豊自伝
江夏豊【著】
波多野勝【構成】
新潮社(新潮文庫)刊
2010(平成22)年2月発行


プロ野球を見始めた頃、江夏豊はすでに阪神タイガースの大エースと呼ばれる存在でした。まだ後年ほど腹も出てゐなくて、凄味を感じたものです。「不世出の大投手」といはれることも多いですが、沢村栄治もスタルヒンも金田正一も稲尾和久も江川卓もさう呼ばれたことがあります。それが全て事実なら逆に不世出ではないといふ矛盾したことになります。どうでもいいけど。

思へばその頃、セントラル・リーグには各球団を代表する大エースがゐたものです。即ち大洋の平松・讀賣の堀内・中日の星野仙一強気の勝負・ヤクルトの松岡・広島東洋の外木場・そして阪神の江夏豊。
無論パシフィック・リーグにも阪急(現オリックス)の山田久志や太平洋クラブ(現西武)の東尾修など、球史に残る怪物投手がゐた訳ですが、当時は完全にセリーグ(といふか讀賣)中心の報道体制だつたので、子供だつたわたくしには印象が薄かつたのであります。

この『左腕の誇り』は、江夏豊自伝といふサブタイトルが付いてゐますが、波多野勝氏によるインタビューを構成した聞き書きの形になつとります。
以前から江夏豊といふ人物は、そのイメエヂとは違ひ、チームの事情を優先し、謙虚に人の話を聞く耳を持ち、自分を殺すことのできる忍耐強い野球人だと思つてゐましたが、本書を読むとさらにその意を強くするのであります。さうでなければ、阪神タイガースで彼の野球人生は終つてゐたのではないでせうか。
それにしても五体満足で投げられたシーズンがプロ入り1年目と2年目だけだとは。今のプロ野球のやうに間隔を十分空けて登板してゐれば...とも思ひますがこればかりは仕方が無い。

といふ訳でまことに読み応へのある一冊でございます。個人的には、江夏豊が大信田礼子さんとお付き合ひしてゐたことがある、といふ情報は知らなかつたので驚きました。本筋には関係ないけれど。

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