源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
せどり男爵数奇譚
せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)/梶山 季之

¥861
Amazon.co.jp

せどり男爵数奇譚

梶山季之【著】
筑摩書房(ちくま文庫)刊
2000(平成12年)6月発行


「せどり」といふ言葉は古本屋特有の符牒かと思つてゐましたが、別段さういふわけでもないやうです。先日も、ある中古ゴルフ用品屋のおやぢが「大阪方面でせどりをしてきた」などと語つてゐました。要するに転売を目的に同業者から仕入れる、といふ意味合ひで使はれてゐるみたいです。

本書のせどり男爵とは、本名を笠井菊哉といひ、透明なカクテル「セドリー」を愛飲する古書店主であります。古書蒐集にかけてはひとかどの人物。
このせどり男爵が自ら遭遇した六つの物語を、文士である「私」に語る形式になつてゐるのでした。

幻の『ふらんす物語』の蔵書票の謎を追ふ話、韓国まで稀覯書を求める団体旅行での虚虚実実、沙翁の初版本『フォリオ』をめぐつて争つたヤッスーン夫人、どうしても手に入れたい古書のためには平然と殺人まで犯す男、『邪悪聖書』を人の皮で装丁する猟奇的な装丁家...

本作に登場するのは、もはや単なるビブリオマニアではなく、ちょつとイッテしまつた人たちと申せませう。
読む前は、梶山作品にしては地味な題材かと思ひましたが、それは間違ひでした。カジヤマニアでなくても納得の一冊ではないでせうか。

スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
http://genjigawa.blog.fc2.com/tb.php/5-04cef512
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック