源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
時代劇博物館
jidaigeki.jpg  時代劇博物館 (現代教養文庫 (1490))

時代劇博物館

島野功緒【著】
社会思想社(現代教養文庫)刊
1993(平成5)年5月発行


もう随分前に『時代劇博物館Ⅱ』といふ書物を取り上げました。
その時、正篇が入手出来ぬので、やむなく続篇を登場させるが、なるべく早く正篇も入手したいものであるなあ、といふ趣旨のことを述べた記憶がございます。
そして今回、遂に念願の『時代劇博物館』を手に入れました。普通にネットで買へますな。拍子抜けしたものです。

著者が本書を世に問ふた背景には、時代劇の著しい衰退があります。昔の子供は皆ちやんばらが大好きで、男の子ならば必ず「ちやんばらごつこ」をしたものであると、著者は述べます。当時の子供たちは時代劇から善悪を学び成長しました。そこには、後の時代みたいに非行に走る少年少女はゐなかつたと。
即ち時代劇の衰退と、少年の非行化は相関関係があるとの意見であります。まあ何ともいへませんがね。

時代劇離れは、若い世代、なかんづく女性に人気がないことによるといふ。その理由として、時代劇に出てくる(主に江戸時代の)風俗、習慣、物価などが理解されてゐないからだと、著者は分析してゐます。
そこで本書では、実在・虚構取り混ぜた時代劇ヒーローを通じて、鑑賞の手引きとなるべく江戸時代の世相や風俗などを解説しやうといふ試みがなされてゐるのでした。

たとへば、旗本と御家人はどう違ふか。千五百石の禄は現在の貨幣価値ではどれだけになるのか。同心とは江戸奉行所の中ではいかなる地位の役職なのか。「七つ下がり」とは、現在でいへば何時何分頃をさすのか。等等等...
これはね、別段時代劇鑑賞のためでなくても役立つ、まことに興味深い内容だと申せませう。
さらに、おなじみの時代劇ヒーロー(旗本退屈男、むつつり右門、遠山金四郎、宮本武蔵など)を例にとつて語るので、親しみやすいのです。

そして巻末では、深沢哲也氏も加はり「時代劇スター番付」を作成します。これは面白い作業ですが、選ぶ人の個人差がありすぎて、島野・深沢両氏の好みがかなり反映してゐると申せませう。少なくともわたくしとしては、結構異議があります。それに、結局殺陣の巧さよりも人気で選ぶ傾向があつたり、番付の地位にやたらと「張出」が多いのも気になります。横綱も三役も基本は東西一人づつであるべきでせうね。
で、このお二人が選んだ上位を紹介すると、以下の通り。(東横綱を一位として、数字で表します)
①大河内伝次郎②阪東妻三郎③嵐寛寿郎④月形龍之介⑤市川右太衛門⑥三船敏郎⑦近衛十四郎⑧若山富三郎⑨萬屋錦之介⑩片岡千恵蔵(以下略)

古い人に偏してゐませんかね。まあこの種のものは遊びだから、構はないか。ひとつわたくしも選んでみませう。
①近衛十四郎②阪東妻三郎③大友柳太朗④嵐寛寿郎⑤東千代之介⑥勝新太郎⑦市川右太衛門⑧萬屋錦之介⑨市川雷蔵⑩三船敏郎(以下略)
ま、明日選べばまた違つてゐるかも知れませんが(笑)
複数の人間でああでもない、かうでもないと議論しながら選ぶのも愉しいでせう。
さういふわけで、満足の一冊でした。ぢやあまた。

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