源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
小説 土井たか子
IMG_0032.jpg  小説 土井たか子 (現代教養文庫)

小説 土井たか子

大下英治【著】
社会思想社(現代教養文庫)刊
1995(平成7)年3月発行


昨年亡くなりました、土井たか子さんの評伝小説であります。何となく年末ごろの訃報だと思つてゐたのですが、改めて振り返ると、9月20日(公表は9月28日)のことで、もうそんなになるのかと驚くのであります。

小説と銘打つてゐるので、脚色潤色もあるのでせうが、まあほぼ事実に沿つた内容のやうです。大下英治氏のことですから、対象人物を批判めいて書いたり茶化したりはしません。日本の憲政史上、初めての女性党首として注目を浴び、さらにこれまた初の女性衆議院議長となつた頃の書物であります。

戦前は軍国少年ならぬ軍国少女だつた彼女。それが空襲を経て、反戦へと変心します。それでも、憲法九条に初めて出会つた時、戦争放棄はともかく、軍隊を持たぬとはどういふことか、外国が武力行使してきたらどうするのかと不安に思ひます。
そんな時、同志社大学の田畑忍教授の講義に参加し、その「徹底した軍備放棄」の思想に触れるのでした。感化された土井さんは、それ以降「護憲」に大きく舵を切ることになり、憲法学者としての道を歩むのであります。

田畑教授を「恩師」と崇め、その後も進路などで悩む時には、必ず相談してゐたやうです。社会党から衆議院選挙出馬を請はれた時も、田畑教授は固辞する土井さんを翻意させるために奔走したのださうです。師弟愛。

社会党を大躍進させた功績者としての面もありますが、結果的に社公民の枠組みを崩壊させるきつかけも作つてしまつたと申せませう。評価は毀誉褒貶あるでせうが、そこは大下氏の著書であります。あまり悪いことは書いてありません。文字通り小説として、偉人伝の類を読む感覚で良いんぢやないでせうか。改めて故人の冥福を祈るものであります。
では、然様なら。

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