源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
写真が語る名鉄80年
61PGb3php9L__SL500_SY344_BO1,204,203,200_   写真が語る名鉄80年―電車・バスなどの変遷 (1975年)

写真が語る名鉄80年

名古屋鉄道株式会社【著】
名古屋鉄道株式会社刊
1975(昭和50)年3月発行


わが地元を縦横に走る名古屋鉄道、略して名鉄。その起源は、1894(明治27)年、愛知馬車鉄道としての開業を嚆矢とするものであります。
わたくしの知る限りでは、名鉄は創業65年、80年、100年時にそれぞれ「社史」を発行してゐるのですが、120年にあたる昨年は確認できませんでした。

わたくしが所持するのは80周年時の本書。まだ子供だつたので、父親にねだつて買つてもらひました。当時の金額で4200円と、かなりの高価。決して裕福ではなかつた我が家ですが、快く購入してくれた父親に感謝であります。
本書の発行については、結構前宣伝などをしてゐたこともあり、友人間でも評判になつてゐました。で、我我の仲間内では、ある噂がまことしやかにささやかれてゐたのであります。それは、表題に起因するものでした。

本書を入手したといふわたくしに、友人が耳元でささやきました。「それで、やつぱり写真がしやべるの?」
「写真が語る」といふ部分を子供らしく真に受け、本当に写真が語りかけてくるスゴイ本だと噂になつてゐたのでした。
この友人は何かと騙されやすい子だつたので、適当に答へておきました。彼は混乱に拍車がかかつた顔をして去つたのであります。
ひとつ思ひ出したので、ちよつと脱線。まあ始めから脱線してゐるやうなものですが。

当時通つてゐた小学校の教室の後方に、生徒の意見を集める目安箱みたいなものが設置されてゐました。その箱の名称が「みんなの声」だつたので、わたくしはその騙されやすい友人に云ひました。「この箱に耳を近づけてみりん、みんなの声がワーワーと聞こえるだら」と。
彼は虚心に耳を箱に近付け、「うん、聞こえる聞こえる」。わたくしは腹の中で、莫迦奴、と嗤つてゐましたが、今になつて思ふと、彼は故意にボケてゐたのかもしれません。

いい加減に『写真が語る名鉄80年』の話をしませう。
タイトル通り、貴重な写真を中心に名鉄の歴史を綴ります。特に創業時、そして終戦直後の写真の入手にはかなり苦労したさうです。

第1章「創業時代」:武平町に巨大な「日清戦争記念碑」があつたのが分かる。
第2章「郊外へ進出」:一宮や岩倉へ支線を伸ばす。後に名鉄の一部となる愛知電気鉄道(愛電)や三河鉄道、西尾鉄道、岡崎電軌、美濃電気軌道、岐北軽便鉄道などがすでに開業。
第3章「高速電車へ発達」:郊外へさらに路線を伸ばす一方、名古屋市内線を市に譲渡。ボギー車・半鋼製車が登場。
第4章「名古屋鉄道の新発足」:北の「名岐鉄道」、南の「愛電」が合併し、名古屋鉄道が発足。名車「なまず」「いもむし」もこの頃登場。
第5章「戦中戦後の輸送」:交通統合政策で合併が進む。空襲やたび重なる大地震により大きな被害を受ける。1945(昭和20)年8月14日、終戦の前日に三河線竹村駅で爆撃を受け、多数の死傷者を出すなど、暗黒時代です。
第6章「復興から躍進へ[Ⅰ]」:豊橋~名古屋~岐阜の名古屋本線直通開始。3800・3850・3900系電車が相次いで登場。後の「二扉クロスシート王国」の基礎を作る。
第7章「復興から躍進へ[Ⅱ]」:各ターミナル駅の整備が進み、伊勢湾台風の被害もありましたが、初の高性能車、セミモノコック構造の5000系登場に沸く。発展型の5500系は日本初の大衆冷房車として誕生、東京の電車を10年先んじた。そして1961(昭和36)年、つひに真紅のパノラマカー7000系登場! 日本中をアッと言はせた。
第8章「新時代をめざして」:キハ8000系による高山本線直通再開。駅設備や業務の近代化、高架化や支線の高速化をすすめる。パノラマカーもどき7300系、汎用パノラマカー7700系登場。知多新線開業。
第9章「名鉄の電気機関車」:いやあ、メイニアックだ...
第10章「バスのあゆみ」:「女子前衛隊」の車掌が、化粧品もない時代に鏡をとる姿に涙するのであります。
そして巻末には「資料編」。開業以来の乗車券や観光ポスターが楽しいですな。

今後も地元と共存しながら発展してもらひたいと存するものです。今動いてゐる大プロジェクトといへば、知立駅の高架化でせうか。三河線(山線)の複線化もからむ、大大大工事であります。
そして2027年のリニア中央新幹線開業を睨んだ工事が目白押しなのであります。個人的には、名駅~知立~豊田市間の直通特急の復活を早期に望みます。現在のところ、三河線内は土橋駅のみ停車の予定で、昔は特急停車駅だつた若林・上挙母は無視されるやうです。ま、いいでせう。

ああ随分長々と書いてしまひました。今から名鉄電車に乗つて出かけてきます。ぢやあまた。

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