源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
国防
国防 (新潮文庫)国防 (新潮文庫)
(2011/07/28)
石破 茂

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国防

石破茂【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2011(平成23)年7月発行


今から思へば、冷戦時代といふのは東西の緊張状態が続いてゐたのですが、危ういながらもそれなりのバランスが取れてゐたのでせうか。ああ、これが「抑止力」だつたのだな、と今にして理解するわけでございます。
日本を取り巻く状況は、決して平和とは申せません。いかにして国を守るかを真剣に考へない為政者は即退場せざるを得ない国情となつてまゐりました。

この風潮に乗つて、いはゆる極右の皆様が伸してきまして、「反戦護憲の奴らよ、これでも軍備は不要かね、それともただ座して死を待ちますか?」と意気軒昂であります。まるでこの人たちは「中○よ、もつと尖○に接近して、領海侵犯してくれよ、しかし上陸しちや駄目だぞ。平和ボケした日本国民を刺激する程度にやつてくれい」と、内心は考へてゐるのぢやないかと疑念を抱くほどです。あ、本気にしないでください。
まあ必ずしも平和ボケは悪いことではないとわたくしは考へてゐますが、それはあくまでも、今享受してゐる平和が、いかなる先達の苦労により得たものか、そして現在どんな人達によつて守られてゐるのかを十分に認識した上でのことでせう。さうでなければ、有事の際に「銃後の守り」も出来ないと思はれます。

さて石破茂大臣です。先達ての総選挙直後は、まるで毒でもあふいだやうに物凄い面相をしてゐましたが、最近は元のツルツルした顔に戻つたやうです。
本書はズバリ『国防』と命名されてゐますが、国防や軍備に関する教科書的な内容を求めても、それは裏切られることでせう。ではツマラナイのかといふと、さうではない。
軍事オタクなどと呼ばれてゐるせいで、石破大臣は好戦的な人物だと誤解されてゐますが、実はまことに合理的な考へを持つてゐると申せませう。

塩野七生さんの「政治家こそミリタリーを知らなくてはいけない」といふ言葉を引き、軍事を語る=極右、危険思想といつた誤解曲解を正します。
また、軍事費を増やしたケネディが批判に答えた言葉「国民をギャンブルに巻込むわけにはいかない」を紹介し、手を打たなかつた場合のマイナスを考へる。日本でうまくいかないのは、日本国民が自国の民主主義に自身がないからではないかと自説を開陳します。

一読して、石破大臣の「焦燥感」が伝はる一冊と申せませう。国防に関しては日本の常識が世界の非常識といふ現状があります。この話題を口にしただけでアブナイ奴扱ひされてきた風潮も関係があるのでせう。「自分の国は自分たちで守る」世界の大原則を改めて訴へた書物ですな。
石破さんはテレビでは何だか胡散臭い感じを与へますが(失礼)、活字ではあの口調が伝はらない分、素直に読めます。決して「ゲル長官」などと、揶揄してはいけませんよ。

おお。もうこんな時間か。デハ寝ますのでご無礼します。

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