源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
日本vsヨーロッパ「新幹線」戦争
〈図解〉日本vs.ヨーロッパ「新幹線」戦争 (講談社+α文庫)〈図解〉日本vs.ヨーロッパ「新幹線」戦争 (講談社+α文庫)
(2015/02/20)
川島 令三

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<図解>日本vsヨーロッパ「新幹線」戦争

川島令三【著】
講談社(講談社+α文庫)刊
2015(平成27)年2月発行


早くも文庫化ですな。このタイミングはきつと、北陸新幹線開業に合はせたものと思はれます。どうでもいいが、ちよつと燥ぎ過ぎのやうな気がします。
しかし本書は、さういふ燥ぐ人たちにとつては心地良い内容ではありません。おそらく「おらが町の新幹線」にケチをつけられたと憤慨するのではないでせうか。ゆゑに、関係者の皆様は読まない方が良いかも知れません。半分冗談ですが。

川島氏は、多くの人が(おそらく)さうであるやうに、日本の新幹線は世界一と思つてゐたさうです。たとへフランスTGVに速度で敵はなくても、総合的なシステムとしての新幹線が上であらうと。
ところが実際に、フランスを始めとする欧州の高速鉄道に乗つてみると、その考へを変へざるを得なくなつたといふことです。どうやら日本の新幹線はかなりの遅れをとつてゐるらしい。どれどれ。ちよつと見てみませう。

第1章は「日本の新幹線はガラパゴス化している」。うーん、ケータイやPCだけではないのか......
著者によると、日本の新幹線はいまだ50年前の低スペックで運用されてゐるため、高速で走るのにはかなり無理がある。それを無理して走らせやうと、海外では不要な新技術を産み出さざるを得ない状況なのださうです。きついカーブ、狭い断面積のトンネル、険しい自然条件、市街地の騒音問題......海外では350km/hでの走行がもう当り前なのに、日本では最新の新幹線が(整備新幹線といふ理由で)260km/hに抑へられてゐます。北陸新幹線が東北新幹線みたいな不恰好なアヒルではなく、あのやうにカッコイイのも、その理由を知るとがつかりするのでした。

第2章は「ヨーロッパの高速鉄道」。やはり日本のライヴァルとなるのは欧州勢。といふことで川島氏はフランス・ドイツ・イタリア・スペインの高速鉄道を取材し、レポートしてゐます。
フランスが頑なに客車方式に拘泥する理由が述べられてゐます。なある。そして、意外に(と言ふと失礼ですが)スペインの高速鉄道が進んでゐます。超先進国と申せませう。確かに「タルゴ」なんて相当昔からありますからなあ。
なほ、フランスとイタリア間の、乗り入れをめぐるいざこざは確かに大人気ない。

第3章は「日本の新幹線が歩むべき道」。提言コーナーですな。日立製作所がイギリスで展開してゐる方法が参考になるやうです。著者は、フランス仕様の線路に日本の車両を売り込む道が、海外勢と伍する方策であると説きます。ほかにも、著者得意の「提言」の数数。川島氏の提言については、非現実的だとか妄想レベルだとか、何かと否定的な反応を示す向きが多いのですが、実現が難しいのは川島氏も承知済みでせう。それでも、使命感から日本の鉄道のために言ひ続けるのだと思ひますよ。
地元が「フル規格新幹線」に拘り続ける限り、「財源をケチつた中途半端な新幹線」と「ずたずたに分断され三セク化した在来線」が増えるだけでせうね。

一応、巻末に明るい展望らしき言辞もあります。せつかくの「世界一の技術」を生かさない手はない。政府が鉄道政策の転換を図つてくれたら良いのですがね。

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