源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
実録・警視庁公安警部
実録・警視庁公安警部―外事スパイハンターの30年 (新潮文庫)実録・警視庁公安警部―外事スパイハンターの30年 (新潮文庫)
(2010/10/28)
泉 修三

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実録・警視庁公安警部 外事スパイハンターの30年

泉修三【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2010(平成22)年10月発行


警視庁のスパイハンターとはどんなものか、その内幕を教へてくれる書物だと期待して読み始めると、その思ひは裏切られることでせう。実はわたくしも同じだつたのですが、そこで頁を閉ぢることはしませんでした。
どうやらこの本は、泉修三といふ人物が自らの半生を自慢気に、他者を愚弄しながら痛快に綴る一冊であると気付いたからであります。さうと分かれば、頭を切り替へませう。
読書に於いて、想定とは相違のあつた書物であると判明した時に、「なあんだ」と放擲することはよくありますが、実は異なる視点から勘考すれば、中中捨てがたい味を持つた内容であることも珍しくありません。それにこの本、元は「バジリコ」ですよ、バジリコ。眉間に寄つたシワも緩まうといふものでせう。

交番勤務に始まり、上野署、特車隊バレーボール分隊、イリーガル班、内閣調査室国際部、右翼対策室、国際テロ班等等、主として外事一課の花形(?)を渡り歩く。ソ連スパイや北朝鮮工作員との闘いも臨場感たつぷりに記述してをります。また「あさま山荘」などの歴史的事件にも関つたやうです。本人によると、いづれの部署でも抜群の働きをみせ、その筆致は先輩同僚後輩をほとんど莫迦扱ひしてゐます。

自分で言うのもおかしいが、不可能を可能にした、こんな離れワザをやってのけるのが警視庁にいったい何人いるだろうか。いはしまい。それだけの「ねばり」と「緻密さ」両方を兼ね備え、さらに損得抜きでやってみようじゃないかという「気概」が私にはあった」(第十一章より)

まあ全編通してこんな感じで、最後には自身のプライヴェート(女性関係など)まで開陳し、怒涛の一冊を締めくくるのであります。自慢話の連続に鼻白む向きが多いのか、本書はあまり評判が良くないやうです。もちろん捏造などがあればもつてのほかですが、事実を列記したとするなら、確かにスゴイ人ぢやありませんか。目の前でグダグダと話されるのは閉口ですが、書物なのだから問題はありますまい。あまりめくじらを立てぬやうにね......

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