源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
新幹線を運転する
無題

新幹線を運転する

早田森【著】
メディアファクトリー(メディアファクトリー新書)刊
2011(平成23)年2月発行

この本はまづ、著者名に惹かれて手に取りました。早田森。ハヤタシンですよ。御存知の方は御存知でせうが、ハヤタ・シンといへばウルトラマンに変身するハヤタ隊員のフルネームであります。
勝手な想像ですが、恐らく著者は特撮・怪獣映画が好きに相違ありません。162頁にも、それを匂はせる記述がございます。東海道新幹線が開業した1964(昭和39)年とはどんな年だつたかを紹介する文章で、東京オリムピックを挙げるのは当然として、「スクリーンではゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラが死闘を演じ」などとメイニアックな話を開陳してゐます。ちなみにこの映画のタイトルは『三大怪獣 地球最大の決戦』(本多猪四郎監督)で、上記の「東宝4大怪獣」が共演した最初の映画。ゴジラシリーズの第五作に当ります。出演者は夏木陽介・星由里子・小泉博・若林映子・志村喬(敬称略)など特撮映画でお馴染みの面々。個人的にはゴジラシリーズの頂点に立つ作品と考へてゐて、これ以降のゴジラ映画は内容・興行とも下降線の一途を辿るのでした。

はいはい。『新幹線を運転する』の話ですね。著者はノンフィクションライターといふ触込みですが、特段のテツではないやうです。お陰で非テツやジュニア読者にはまことに分かりやすい、平易な表現で書かれてゐます。一方で、テツには若干物足りない部分も有るかもしれません。巻末の「主要参考文献」リストを見ますと、大半がわたくしの所持する本でした。この本を一読して感じた「既視感」みたいなものの一因でせうか。

早田森さんの作戦は、新聞紙面で偶然知つた凄腕の新幹線運転士・木内辰也さんに徹底取材し、時速270キロ(当時)で疾走する運転士のさまざまな面を紹介しやうといふ寸法であります。
残念ながら運転室への同席は叶はず、訓練用シミュレータでの紹介となりましたが、そこは文章と木内氏の協力とで、そつなく計器類も紹介してゐます。
時速270キロといへば、普通の人はまづ経験が出来ません。わたくしなどは、高速道路を自分で運転してゐても、時速100キロでかなり怖いと感じてゐます。270だときつとすべてが一瞬のうちに後方へ去つてしまふのでせう。木内氏は、鉄橋を渡る時、トンネルと錯覚することがあるなどと述べてゐたくらゐですから。体感したいねえ。うむ、何だかリニア・鉄道館へ行きたくなつてきました......

巻末には、木内氏を含む五名の現役運転士が集まり、座談会(といふか、インタビュー)のやうすを収録してゐます。ハイテク化された運転室に座る各氏ですが、結局生身の人間が最終判断することが多いやうです。運転中の目標物ひとつとつても、各人バラバラで面白いものだと感じました。木内氏以外の人に取材して同様の本を作らうとすると、全く印象の違ふ本になるのでせうね、きつと。

さ、夜も更けて参りましたので、これにてご無礼いたします。



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