源氏川苦心の快楽書肆
古い本を探しては読みふけつてゐます。よければお付き合ひくださいな。
ユーラシア大陸飲み継ぎ紀行
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ユーラシア大陸飲み継ぎ紀行

種村直樹【著】
徳間書店刊
1996(平成8)年5月発行

先達て、テツ俳優の六角精児さんが某局のテレビ番組にて、「呑み鉄」と称してJR七尾線及びのと鉄道を旅してゐました。
乗り鉄撮り鉄模型鉄その他色色あるけれど、呑み鉄とはまた聞きなれない言葉。まあ言はんとするところは何となく分かりますが、念の為に番組の解説から引用しますと、呑み鉄とは「「鉄道」と「酒」をセットで楽しむ鉄道ファンのこと。土地の酒を目的として旅する人、車窓の景色を肴に呑む人…そのタイプはさまざま。」 ださうです。呑むなら乗るなのクルマでは絶対に出来ない、愉快な旅でした。

しかし、20年も前に、この呑み鉄を実践した人がゐました。しかも舞台はユーラシア大陸横断とスケイルがでかい。総延長は17000km。1700ではありませんよ、17000であります。
その人こそ、本邦初の「レイルウェイ・ライター」を名乗つた故・種村直樹氏。それまでにも、遊び心のある乗り継ぎ旅をさんざん繰り返してきた種村氏ですが、それらに比しても超大型企画であります。訪問した国は、順番に挙げると、ポルトガル・スペイン・フランス・イギリス・ベルギー・ドイツ・チェコ・ポーランド・ベラルーシ・ロシア・カザフスタン・中国となります。
ポルトやコニャック、酒泉、紹興など酒に関はる土地を巡りながら、あくまでも観光はおまけで、ひたすら飲み続け、乗り続けます。

種村氏の旅は一人旅は少なく、グループ旅行が多いのですが、流石に今回は海外の鉄道を25日間も乗り続ける旅のため、普通の勤め人には参加するのが難しい。そこで愛称「ライオン」氏のみが同行する二人旅となりました。
ポルトでのポートワインに始まり、シェリー酒、ビール、ウヲツカ、コニャック、ウィスキー、白酒......種村氏、ライオン氏ともにのつけから飲みまくります。鉄道:飲酒の比率は3:7くらゐでせうか。読んでゐるわたくしにまで酒の匂ひが漂つてきさうです。こちらは飲んでもゐないのに酔ひさうであります。
流石に一週間後には種村氏が、二週間経つてライオン氏がダウンします。ああこの人たちも人間だつたなと、少し安心しました。しかし回復すればまた酒酒酒......ビールは水みたいな感じです。

ベルリンの壁崩壊やソ連消滅からまだ数年の当時、治安も通貨も不安定な場所もあり、中中スリリングでもあります。身の危険が迫ることはなかつたやうですが、不便を強ひられ、不快な思ひもしたやうです。
それでも、車中で意気投合したカザフスタン人の「アルドゥル」氏や、中国の美人ガイド趙さんなど、心に残る出会ひもあり、様様な人たちに助けられ、最後は千葉県の酒々井(「しすい」と読む)で締めます。

種村氏本人の言によると、「飲み継ぎ紀行」日本篇も予定してゐたとか。残念ながら実現することなく終つてしまひました。後年、種村氏はくも膜下出血で倒れて以降、仕事量がグンと減つてしまひ、ライフワークの「日本外周の旅」を完成させる方へ力を注いだ感もありますので、やむを得ないのでせう。それを思へば、元気なうちに、かかる大旅行を敢行できたのは、まことに慶賀すべきことなのでせう。

では、また。



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